ロスジェネ 第9話

第9話「C制限」

深夜0時。
『Re:GEN』は再び起動した。だが、画面には見慣れない表示が浮かんでいた。

制限モード：C
修正可能範囲は「半径50メートル以内、直近24時間以内の出来事」に限られます。

（……つまり、広範囲のやり直しはできないってことか）

蓮は小さく息を吐いた。
だが、たとえ制限があっても「何もしない」という選択肢はなかった。

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日曜の夜、事件当日。
リープした蓮は、すぐに小宮の帰り道へ向かった。
人気の少ない裏通り。自販機の灯りがぼんやりと照らす。

（ここだ……！）

だが、背後から黒い影が現れる。
刃物を持った男が、真っ直ぐ小宮へ向かっていた。

（間に合った……けど、俺に何ができる？）

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蓮は躊躇した。
タイムリープは「やり直し」だが、C制限の今は次のリープまで待たねばならない。
つまり、この一度きりの行動でしか小宮を救えない。

刹那、蓮は駆け出した。
「小宮ッ！」
叫びながら、影に体当たりを食らわせる。

刃物が閃き、腕に熱い痛みが走った。
しかし、その瞬間に通行人の視線が集まり、犯人は怯んで逃げ出した。

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小宮は震えながら蓮を見た。
「……なんで、あんたがここに？」

蓮は血のにじむ腕を押さえながら、笑ってみせた。
「たまたま、だよ」

彼女は何も言えず、ただ目を見開いていた。
救急車のサイレンが近づく中、蓮のスマホが震える。

影響度：中
代償：身体的損傷（継続）

（……これが代償か。けど、今回はそれでいい）

蓮は腕の痛みに顔を歪めながらも、胸の奥に確かな実感を抱いていた。

「ようやく、ひとつ守れた……」

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（第9話 完）

次回 → 第10話「痛みの意味」