海での出来事から
数ヶ月経ち、僕らは同棲を始めた。
まゆ子とはほのぼのとした日常を送っている。
「おいで、極くん」
「どうしたんだ、まゆ子…」
「一緒に写真撮ろうよ」
まゆ子は僕の方へ手招きをする(1枚目)
隣には愛犬のプイがいる。
プイもまっすぐな眼差しでこっちおいでと言っているような気がした。
「かっ可愛すぎて尊いな!」
「もーう、極くんに言われると照れちゃうな」
「ワンワン!」
「あっ心の声漏れちゃった!」
可愛すぎて、まゆ子に対する僕の心臓は日々、高鳴っていた。
このドキドキがずっと続けばいいな、
僕は心から願っていた。
人の命は儚い、ふとした衝撃で脆く崩れ去る、きっとこの写真を見たら、泣いちゃうのかなぁ、まゆ子のいない世界で生きていけるのかな…
「極くん、ぼぉ~っとしてどうしたの」
まゆ子が僕の顔を覗く、
「何か不安なことがあったら、言ってね」
彼女は僕の心臓の部分に手を当て、もう片方は自分の心臓に当てる、
生きてる鼓動、生きた証、血が巡る音、感触が肌を通し、骨を通して伝う。
まゆ子の手は温かく、優しさと親愛を感じた。
まゆ子に話そう、僕は彼女と共に生きると決めたから…
「これから、ふとしたことで君を失うと思うと怖いんだ」
交通事故、水難事故、
この物騒とした世界で生きるには
まゆ子の華奢な体では耐えられるのか…
不安だった。
前回のこともある。
僕のせいで、彼女を危険に晒してしまった。僕が溺れたばかりに…
その責任からか、あの後もずっと考えている。
防災セットも買って、その他、とにかく、まゆ子を失いたくなかった。
「大丈夫よ、私は死なないわ」
「でも、本当に君のことが」
僕の頬に彼女は軽くキスをする
「私が今できる極くんへのメッセージ」
「あっうぅ…そっそうか、わかった心配しすぎてどうにかなってた」
そうだ、あれこれ心配しすぎて、
まゆ子との楽しい時間を楽しめないものになったらそれこそ、本末転倒だ。
例え、いつか、悲しいことが起こっても僕は前を進みたいっ!……そう、前に…
「うぅ、まゆ子をぉぉ…僕、僕はぁ」
「極くんはすぐ泣いちゃうところ変わらないんだから」
まゆ子は僕の頭を撫でる
膝枕、赤子になった気分だ。
もし、生まれ変わるならまゆの子になりたい。流れ星にはそう願いたいくらい…
心が安らぐ…眠くなってきた
「極くん、寝ちゃったね」
「ワン!」
しばらくして、僕は目を覚ます
「はっ!まゆ子!」
「あっ起きたね極くん」
「ごめん、僕の顔重くなかった?」
「大丈夫だよ、だって、極くん、気持ち良さそうな顔で眠ってくれるから…」
「わぁぁぁ~」
頬が真っ赤に染まる、僕、落ち着け!餅つけ!僕は…
「とっとにかく、写真撮らなきゃ、僕とまゆ子とプイで」
「そっそうだね、忘れてたよ」
「僕も、まゆ子の心配で目的見失ってた」
カメラを起動する
時間をセットし、僕はまゆ子の方へと向かう。
2枚目
3枚目と写真を撮った。
僕らのかけがえのない日常、
この瞬間をおさめていたい。
いつか、僕かまゆ子、プイは
いなくなる。
体は朽ち果て骨になる、
僕も、まゆ子も、プイも
けど、写真があれば、
この中に生きた証を感じれる。
(あとがき)
この1本に全力込めて、
まゆ子を生成し物語、描きました。
描いてる途中は、もう、尊いなんだ、これは、これが光、アァ、まゆ子よ私を導いてくれ!私はシャアなのかな…ララァ=まゆ子がいなくなったら、彼のようになってしまうのかな。アクシズ落とししてしまうくらい絶望しちゃいますね。だけど、運命は残酷で、時に非常に唐突でして、ふとした時に誰かが亡くなるってのが生命なんだなと思います。だから、この瞬間、瞬間の尊さをまゆ子を通してこれからも描いて書いていけたらなと思います。
濡れ透けマンの絶望を救ってくれたまゆ子
(R15)
https://www.chichi-pui.com/posts/bc3c48af-8ca4-4583-8e59-78665de9f094/まゆ子とアイスクリーム(R15)
https://www.chichi-pui.com/posts/7ff993be-3b2e-41a7-9ace-1f8e996f9c16/まゆ子と海(全年齢)
シナリオゲーのような感じになってます
https://www.chichi-pui.com/posts/9df3d05b-d5f4-4cdb-8bc2-f7b697029bf2/