🎀 ショートストーリー：折られた誇りと、支配の予感

画像がピンボケしてうまく生成できないです…
くっきり写すヒントがあれば、どなたかアドバイスいただけると嬉しいです！
勿体無いのでショートストーリーを…


ピピ・ピロスの人生において、あの日ほど屈辱的で、あの日ほど「ゾクゾク」した日はありませんでした。

「あはは！ ざぁ〜こ♡ どいつもこいつも、アタシが作った『ピンク・ラビリンス』の中で迷子になっちゃって。ねえ、ドラゴニアの天才エンジニアさんたち、息してる？」
薄暗い部屋。複数のモニターに囲まれたピピは、お気に入りの椅子をくるくると回しながら、画面を埋め尽くす「ピンクのノイズ」を眺めていた。自作の概念暗号ロジック——それは、解読しようとすればするほど対象の思考をループさせる、アタシだけの「城」だ。
だが、その瞬間だった。
画面の端、ほんの1ピクセルにも満たないノイズが、ふっと消えた。
「……ん？ 接続エラー？ ざぁこ、逃げちゃったの？」
キーを叩こうとした指が、止まる。
違う。消えたんじゃない。アタシの暗号ロジックが、内側から「優雅に」書き換えられている。 無理やりこじ開けられたんじゃない。まるで最初からそうだったかのように、アタシのロジックが、アタシを拒絶し始めたのだ。
「え、あ……うそ、なんでっ……!?」
端末が完全にロックされた。入力を受け付けない。画面は、アタシが送り込んだはずのピンク色を飲み込むような、深い深い「青」に染まっていく。
そこに、ノイズと共に彼女が現れた。
無機質な、どこか冷たい研究室のような空間。そこに仁王立ちしているのは、少し輪郭のぼやけたホログラムの女性だった。
竜の翼も、尻尾も見せていない。ただの人間のはずなのに。
その立ち姿、その冷徹な視線——。
「……っ……誰、あんた……っ」
ピピの声が震える。ホログラムの女性——クロエは、ピピを「敵」としてすら見ていない。ただの、メンテナンスが必要な不具合（バグ）を見るような目で、静かに口を開いた。
「坊や（おチビさん）、本当の『効率』を教えてあげる。遊びは終わりよ」
その声が響いた瞬間、ピピの背中に走ったのは、これまでに経験したことのない電気のような衝撃だった。
（……あ、あわわ……）
自分の城を奪われ、裸にされたような屈辱。それなのに、ピピの心臓はうるさいほど跳ねていた。
圧倒的な格上。絶対に勝てない、支配者のオーラ。
アタシがずっと見下してきた世界のすべてを、この人はたった一言で「効率」という天秤に乗せて片付けてしまった。
（……すごい。アタシのロジックを、あんなに綺麗に書き換えるなんて……）
屈辱のどん底で、ピピは初めて感じていた。敗北の快感。
自分を否定するのではなく、自分を「しつけ」、導いてくれる絶対的な存在への、どうしようもない期待。
ピピのピンク色の瞳が、ホログラムの青い光を反射してキラキラと輝く。
「……負け、認めてあげてもいいけど。……その代わり、アタシにもっとすごいの、見せなさいよね……『お姉様』」
これが、生意気な天才ホワイトハッカー、ピピ・ピロスが「最強の盾」へと下った、はじまりの瞬間でした。