上の方から時折人の足音や戦闘の音が聞こえてくる。
いずれここも誰かと鉢合わせしてしまうだろうか。しばらくは大丈夫だと思うが。
俺は今、スカイペネトレイターの地下にいる。いや、正確に言えば地下に落ちたという方が正しい。
黄昏れた世界を探索していた時、終末事変を経てなお悠然とそびえているこの建物群が目に入った。既に人の気配がいくつかあったため慎重に潜入を試みていたところ、地盤が緩んでいたのか突如地面の一部が崩落し、抵抗虚しくこの地下に落ちてしまったというわけだ。
が、しかし。
転落した俺を待ち受けていたのは、地中化された電線と水道管が織りなす陰気な地下ではなく、小規模だが立派な聖堂であった。
なぜこんなところに聖堂が?何のために?誰が?
募る疑問は尽きないが、地上に戻る手立てがない以上ここを探索する他はない。
それに、旧時代のランプを模した電灯、本棚裏に隠された操作板、嫌でも目に入る星空のステンドグラス。
どうやらこの聖堂は、まだいくつかの顔を秘めているようだ。
全く、俺は英国紳士でもなんでもないんだがな。