……もう、行かなくちゃ。

足元に広がるこの眩しいくらいの花畑は、きっと私が知る中で一番優しくて、一番退屈な場所。ここにいれば傷つくこともない。ずっとこの黄金色の波に揺られて、夢を見ていられたらどれほど幸せだろう。

でも、背中から吹き付ける風が、私の髪を夜闇の方へと押しやる。
舞い上がる花びらは、まるで『行かないで』と引き止める私の未練のよう。

見上げれば、そこには深くて冷たい、先の見えない暗闇が広がっている。
何が待っているのか、誰がいるのか、私には分からない。

怖いよ。すごく、怖い。

それでも。
このぬくもりの中に留まり続けることは、もうできない。
私は、この黄金色の安らぎに背を向けて、あの冷たい闇へと一歩を踏み出す。

いつかあの闇の先で、本物の光を見つけるために。

――さようなら、私の優しい思い出

呪文

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