レッドブレスト
使用したAI
Dalle
「有紗さんがお客さん側にも座ってくれるの嬉しいな♪
いつも日曜にカフェ営業してくれるの本当に助かってますけど、やっぱりお酒も楽しんでほしくて」
「元々お酒も好きだからね。それに、ここの止まったような時間が好きなの。
仕事のスイッチを切るには最適でしょ」
そう言って、有紗は残っていたカクテルを飲み干した。
遥はグラスを静かに下げる。
「お代わり、いかがですか?」
「そうね。ちょっと遅いけど今日はお願いしようかな。
……ウィスキーを、何かロックで」
「かしこまりました」
遥は頷き、バックバーへ視線を走らせる。
迷いはほとんどない。
氷を入れたロックグラスを冷やしながら、一本のボトルを手に取る。
計量、注ぎ、静かなステア。
余計な動きは一切ない。
「やっぱり遥さんの手つき、本当に綺麗ね」
「ありがとうございます。香澄先輩の指導の賜物ですね。
……でも、有紗さんも最近すごく上達してると思いますよ」
遥は軽く笑いながら、グラスを差し出した。
差し出されたグラスからは、熟したドライフルーツや、焼きたての菓子のような甘く芳醇な香りが立ち上がった。
「お待たせしました。レッドブレスト12年のロックです」
コマドリのラベルが灯りを受けて柔らかく光る。
有紗は一口含み、静かに息を吐いた。
「……美味しい。リッチだけど、優しいわね」
「はい。アイリッシュらしい柔らかさがありますよね。
その中でもレッドブレストはバランスがすごく良くて」
「確かに。ジェムソンも好きだけど……これはまた違う良さね」
「女性にもおすすめしやすい一本なんです」
遥は自然に笑った。
その言葉を聞いた有紗は、グラスを見つめたまま小さく頷く。
「……流石は遥さんだわ」
ほんの少しだけ、声に影が落ちた。
遥は気づく。
――踏み込んでほしい、という合図。
「お仕事、忙しいんですか?」
「忙しいというより……試行錯誤中、かな」
有紗は苦笑する。
「最近、本業のやり方を少し変えててね。
今までは“頼まれたら助ける”って距離感だったんだけど」
グラスの氷が小さく鳴る。
「もう少し、自分から関わってみようと思って。
全体を見て、必要なら口も出して」
「でも、やっぱり慣れなくて。上手くいったり、いかなかったり」
「バランスが難しいわね。余計なお世話だったかなって凹んだり、空回りしたり。
今まで通りでいた方が楽だったかもって、少しだけ思っちゃうの」
少し肩をすくめた。
遥はすぐには答えない。
一度、バックバーへ視線を戻してから口を開いた。
「レッドブレストって、実は一度ほとんど消えかけたウイスキーなんですよ」
「え、そうなの?」
「はい。禁酒法とか戦争とか、いろんな影響でアイリッシュ自体が衰退して。
市場から姿を消した時期もあったんです」
遥はグラスの水滴を布で軽く拭く。
「でも、生き残った蒸留所が統合されて、1991年に復活しました。
伝統の灯を絶やしたくない人たちが、蒸留所を統合して、やり方を変えて、必死に守り抜いた。
だから今こうして飲めてるんです」
有紗はグラスを見つめる。
「……へぇ。ずっと続いてきた一本だと思ってた」
「続いてるように見えても、途中で形を変えてるんですよね。
でも形を変えてでも生き残ろうとした強さが、この複雑な味わいを作っているんだと思います。」
少しだけ間。
遥は控えめに続けた。
「有紗さんも、今ちょうどそういう時期なんじゃないかなって」
「……そうかもしれないわね」
「やり方を変えるって、たぶん一度バランス崩れると思うんです。
でも、それって前より広く見ようとしてる証拠ですよね。
きっと新しい自分に生まれ変わるための、シェリー樽での熟成期間みたいなものですよ」
言い切らず、少し笑う。
「……人の悩みを簡単に例えるのは失礼かもしれませんけど」
有紗はしばらく黙ったまま氷を揺らした。
そして、ふっと笑う。
「ううん。いい例えだと思う」
もう一口飲む。
「確かに、必要な時間なのかもしれないわね」
「ですよ。レッドブレスト級の復活、期待してます」
遥が冗談めかして言うと、有紗は小さく笑った。
グラスの中の氷が、静かに溶けていく。
店内には穏やかな音楽と、低い会話のざわめき。
有紗はグラスをカウンターに置き、ゆっくり言った。
「ねえ、遥さん」
「はい?」
「こうして誰かに選んでもらった一杯って、
自分で選ぶより少しだけ前に進める気がするわね」
遥は少し驚いた顔をして、それから柔らかく頷いた。
「……それが、バーのいいところだと思います」
有紗は満足そうに微笑み、再びグラスを手に取る。
氷の音が、今度は軽やかに響いた。
――その夜、有紗はもう一杯だけ同じウイスキーを頼んだ。
------------------------------------
久しぶりに日曜日にゆっくり時間が取れたので、久しぶりに「ウイスキー_A.Libra」用のお話を書いてみました。
このレッドブレスト、今回は上手いことキャプションに特徴や歴史を含められたと感じてるので、そちらに説明は譲らせてもらいます。
私個人もちょくちょくはレッドブレストを飲んでいたんですけど、ちょっと嫌なことがあったときに馴染みのバーで思い切って21年のロックを飲ませてもらいました。
一杯4,000円したんですけど、ほんと美味しくて。スッと入ってくるような柔らかさなのに、飲みごたえが凄くて。新しい体験でおっと思ったので、今回テーマに選びました。
12年はまだリーズナブル…なイメージでしたが、今検索するとすっかり値上がりしちゃいましたねぇ(-_-;)
他は15年、21年が通期で買えるラインナップですが、もう21年なんて凄いことに( ゚д゚)
私が飲んだバーも仰ってましたが「入荷した時」の値段で出してくれてるからその値段ってだけで、新しく仕入れた分はほんとねぇ。
そう考えると4,000円とはいえその値段で21年を飲めたのはラッキーだったな、と思います。
あっ、最後になりますがイラストはレッドブレストのイメージとは似ても似つかないので何卒ご容赦を…m(__)m
いつも日曜にカフェ営業してくれるの本当に助かってますけど、やっぱりお酒も楽しんでほしくて」
「元々お酒も好きだからね。それに、ここの止まったような時間が好きなの。
仕事のスイッチを切るには最適でしょ」
そう言って、有紗は残っていたカクテルを飲み干した。
遥はグラスを静かに下げる。
「お代わり、いかがですか?」
「そうね。ちょっと遅いけど今日はお願いしようかな。
……ウィスキーを、何かロックで」
「かしこまりました」
遥は頷き、バックバーへ視線を走らせる。
迷いはほとんどない。
氷を入れたロックグラスを冷やしながら、一本のボトルを手に取る。
計量、注ぎ、静かなステア。
余計な動きは一切ない。
「やっぱり遥さんの手つき、本当に綺麗ね」
「ありがとうございます。香澄先輩の指導の賜物ですね。
……でも、有紗さんも最近すごく上達してると思いますよ」
遥は軽く笑いながら、グラスを差し出した。
差し出されたグラスからは、熟したドライフルーツや、焼きたての菓子のような甘く芳醇な香りが立ち上がった。
「お待たせしました。レッドブレスト12年のロックです」
コマドリのラベルが灯りを受けて柔らかく光る。
有紗は一口含み、静かに息を吐いた。
「……美味しい。リッチだけど、優しいわね」
「はい。アイリッシュらしい柔らかさがありますよね。
その中でもレッドブレストはバランスがすごく良くて」
「確かに。ジェムソンも好きだけど……これはまた違う良さね」
「女性にもおすすめしやすい一本なんです」
遥は自然に笑った。
その言葉を聞いた有紗は、グラスを見つめたまま小さく頷く。
「……流石は遥さんだわ」
ほんの少しだけ、声に影が落ちた。
遥は気づく。
――踏み込んでほしい、という合図。
「お仕事、忙しいんですか?」
「忙しいというより……試行錯誤中、かな」
有紗は苦笑する。
「最近、本業のやり方を少し変えててね。
今までは“頼まれたら助ける”って距離感だったんだけど」
グラスの氷が小さく鳴る。
「もう少し、自分から関わってみようと思って。
全体を見て、必要なら口も出して」
「でも、やっぱり慣れなくて。上手くいったり、いかなかったり」
「バランスが難しいわね。余計なお世話だったかなって凹んだり、空回りしたり。
今まで通りでいた方が楽だったかもって、少しだけ思っちゃうの」
少し肩をすくめた。
遥はすぐには答えない。
一度、バックバーへ視線を戻してから口を開いた。
「レッドブレストって、実は一度ほとんど消えかけたウイスキーなんですよ」
「え、そうなの?」
「はい。禁酒法とか戦争とか、いろんな影響でアイリッシュ自体が衰退して。
市場から姿を消した時期もあったんです」
遥はグラスの水滴を布で軽く拭く。
「でも、生き残った蒸留所が統合されて、1991年に復活しました。
伝統の灯を絶やしたくない人たちが、蒸留所を統合して、やり方を変えて、必死に守り抜いた。
だから今こうして飲めてるんです」
有紗はグラスを見つめる。
「……へぇ。ずっと続いてきた一本だと思ってた」
「続いてるように見えても、途中で形を変えてるんですよね。
でも形を変えてでも生き残ろうとした強さが、この複雑な味わいを作っているんだと思います。」
少しだけ間。
遥は控えめに続けた。
「有紗さんも、今ちょうどそういう時期なんじゃないかなって」
「……そうかもしれないわね」
「やり方を変えるって、たぶん一度バランス崩れると思うんです。
でも、それって前より広く見ようとしてる証拠ですよね。
きっと新しい自分に生まれ変わるための、シェリー樽での熟成期間みたいなものですよ」
言い切らず、少し笑う。
「……人の悩みを簡単に例えるのは失礼かもしれませんけど」
有紗はしばらく黙ったまま氷を揺らした。
そして、ふっと笑う。
「ううん。いい例えだと思う」
もう一口飲む。
「確かに、必要な時間なのかもしれないわね」
「ですよ。レッドブレスト級の復活、期待してます」
遥が冗談めかして言うと、有紗は小さく笑った。
グラスの中の氷が、静かに溶けていく。
店内には穏やかな音楽と、低い会話のざわめき。
有紗はグラスをカウンターに置き、ゆっくり言った。
「ねえ、遥さん」
「はい?」
「こうして誰かに選んでもらった一杯って、
自分で選ぶより少しだけ前に進める気がするわね」
遥は少し驚いた顔をして、それから柔らかく頷いた。
「……それが、バーのいいところだと思います」
有紗は満足そうに微笑み、再びグラスを手に取る。
氷の音が、今度は軽やかに響いた。
――その夜、有紗はもう一杯だけ同じウイスキーを頼んだ。
------------------------------------
久しぶりに日曜日にゆっくり時間が取れたので、久しぶりに「ウイスキー_A.Libra」用のお話を書いてみました。
このレッドブレスト、今回は上手いことキャプションに特徴や歴史を含められたと感じてるので、そちらに説明は譲らせてもらいます。
私個人もちょくちょくはレッドブレストを飲んでいたんですけど、ちょっと嫌なことがあったときに馴染みのバーで思い切って21年のロックを飲ませてもらいました。
一杯4,000円したんですけど、ほんと美味しくて。スッと入ってくるような柔らかさなのに、飲みごたえが凄くて。新しい体験でおっと思ったので、今回テーマに選びました。
12年はまだリーズナブル…なイメージでしたが、今検索するとすっかり値上がりしちゃいましたねぇ(-_-;)
他は15年、21年が通期で買えるラインナップですが、もう21年なんて凄いことに( ゚д゚)
私が飲んだバーも仰ってましたが「入荷した時」の値段で出してくれてるからその値段ってだけで、新しく仕入れた分はほんとねぇ。
そう考えると4,000円とはいえその値段で21年を飲めたのはラッキーだったな、と思います。
あっ、最後になりますがイラストはレッドブレストのイメージとは似ても似つかないので何卒ご容赦を…m(__)m
呪文
呪文を見るにはログイン・会員登録が必須です。
イラストの呪文(プロンプト)
jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon
イラストの呪文(ネガティブプロンプト)
入力なし