本日のランチ

12月17日｜王道の先にある一皿
デミグラスハンバーグ定食

湯気の立つ鉄板の上、艶やかに流れ落ちるデミグラスソース。
その一瞬を、厨房で静かに見守るシェフの眼差しが、この店のハンバーグに対する矜持を物語っている。

主役のハンバーグは牛7：豚3という、まさに王道の黄金比。
空気をしっかり抜いて成形し、焼き始めは強火で表面を香ばしく、仕上げは弱火でじっくり——
肉汁を閉じ込める工程は、プロの技そのものだ。ナイフを入れれば、押し返すような弾力とともに、旨味を含んだ肉汁が静かに広がる。

そこへ注がれるのが、時間を惜しまず仕込まれたデミグラスソース。
玉ねぎや人参、セロリを丁寧に炒めて引き出した甘み、赤ワインの奥行き、
そして隠し味にほんのり感じる味噌と醤油のコク。
最後に加えたバターが照りを与え、見た目にも“ごちそう感”を完成させている。

付け合わせも抜かりない。
ホクホクのジャガイモ、旨味を吸ったウインナー、甘みのある玉ねぎ、
ブロッコリーとコーン、艶やかなキャロットグラッセ。
平皿に盛られたライスは、ナイフとフォークでハンバーグと合わせやすく、
ソースを絡めながら食べ進める楽しさをしっかり計算している。

新鮮野菜のサラダで口を整え、再びハンバーグへ。
一皿の中で「緩急」があり、最後まで飽きさせない構成だ。

王道のメニューでありながら、派手さではなく技術と手間で魅せる洋食。
このデミグラスハンバーグ定食は、“いつ食べても美味しい”という言葉を、真正面から証明してくれる一食だった。

次回予告

次回の『食彩探訪』では、冬の寒さにほっとする煮込み料理が登場予定。
出汁と素材が織りなす、やさしい一杯を追いかけます。

寒い日こそ、丁寧に作られた料理が心に沁みる——。