戦刃いのりー 戦刃『進』ー 少女の眼差し、嘆く君へ

嘆きの雨が降る、

失いし友の死は

彼の心に深く、

突き刺す、

「僕のせいだ、僕が弱いばかりにッ！」

拳を地面になぐり付ける

戦刃は何も言わない、
彼の悲しむ気持ちは知っている、
彼女も同じく級友を斬ったから、
そして、彼の親友を斬ったから、

あの…や、その…では済まされない、
どの言葉も彼にとってはトゲになるだろうと思えたから…

公人を抱きしめる
心臓の音が背中から伝わる

「今はこれが貴方にしてあげられること…」

「あり…が…とう」

涙が頬を伝わり、落ちる、
雨と共に流される

しばらく公人といのりは
そのままの状態で
死者を想う…

「君の名前はたしか、戦刃さん？」

「そうよ、あなたは公人くんだよね」

「うん、いっそ、僕が死ねば勇気がヒーローになれたのにな…」

パチン

頬を叩かれる公人

「それは違うわ！決して、あなたを助けた人は公人に生きてほしいから！」

「僕に生きてほしいって…」

彼女の目はまっすぐに公人を見つめていた

「それに、あなたのために、皆が必死になって動いてるのよ！」

「僕のために…」

だから…

「軽々しく死ぬとか言うのはやめなさい！死ぬっていったら斬る！軟弱者はいらない、少しでも進む覚悟があるのなら、立ち上がって」

公人はしばらく、下を向いて、

「僕は、彼を失った、悔やんでも悔やみきれない恩人を、だけど、僕が生きることで勇気の死に意味があるのなら、僕は進みたい！」

公人の目の色が変わる、
絶望の色から、紅蓮の炎へと変わる

「さて、ここを出るわよ、掴まって！」

手が差し出される

「わかった！」

彼はいのりの手を握る

「しっかり掴まって！」

「ああ！」

いのりは深呼吸し前を見据え
力強く地面を蹴って
屋上を飛び降りた

「わぁぁあ！」

「安心して、戦刃『突』」

切っ先を地面に向けて穿つ
刃から放たれる衝撃で
静かに着地する

「あなたの力が必要だから」

「僕の力が」

公人は自分の拳を固く握りしめた

「勇気にもらった命、ここで使わずして何になる！わかったよ戦刃(いくさば)！」

彼らは怪しい光を放つ中心地へと向かう

公人の父が神主を勤める場所へ

前回(記念イラスト兼今までのストーリーが目次な感じになってるので)

https://www.chichi-pui.com/posts/766ea656-c08e-4fee-a1d5-681d63c1b7d8/