永禄三年(1560年)、織田家の本拠地尾張に迫る運命の嵐。東からは三河、遠江、駿河を治める大国、今川義元の大軍が迫っていた。2万を超える敵兵が迫る中、信長の家臣たちの間には緊張が漂い、籠城か野戦か、その判断にゆだねられる織田家の命運を誰もが案じていた。
清洲城の一室、信長の重臣たちが集う会議の場は、静かな緊張に包まれている。その空気を切り裂くように、信長は突如として立ち上がり、能楽の装束をまとわぬまま「敦盛」を舞い始める。
「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻のごとくなり…」
声に乗せられた言葉が部屋に響き渡る。舞う信長の目は、しかし踊りそのものに集中しているわけではなかった。むしろ彼の鋭い視線は、目の前に座る家臣たちの動きや表情を細かく観察している。
一人は目を閉じて祈るように下を向き、戦の行く末に思いを馳せているかのようだ。一人は武者震いに耐えるように、両膝を固く握りしめている。そしてもう一人は、焦りを隠すようにわずかに目を泳がせていた。信長の内心にはひとつの考えがあった。「誰が内通者か、誰が頼れる者か」。この非常時に際して、すべてを見極める必要がある。
舞い終えた信長は静かに腰を下ろし、冷然たる声で言い放つ。「籠城はせぬ。野戦あるのみ。勝つか負けるかではなく、この戦で道を拓くのだ」。重臣たちは息を飲む。彼らが信長の胸中にあった策略を完全に理解するのは、桶狭間の決戦の後になるだろう。
ここに、若き織田信長の非凡な指揮官としての一面が刻まれる。彼は己の直感と洞察力をもって、目の前の逆境を乗り越えようとしていた。
能力名:天下布武
自軍全体の攻撃力を大幅にアップし、戦闘中の士気低下を無効化。
能力名:戦国の革命児
火器部隊の性能を強化し、城攻めを容易にする。