朝露の恵み

いつか使えるかもしれない知識　その11「朝露の恵み」

夜明け前の島は、しんと静まり返っていた。
空気は冷たく、白い霧が地面をゆるやかに這っている。
焚き火の跡から立つわずかな煙が、薄明の空に消えていった。

「……喉、痛い……」

2日目の朝は、喉の痛みで目が覚めた。
唇を舐めてみるが、乾いている。
昨夜から、ほとんど水を口にしていない。

「このままじゃ、動けなくなる……でも、川も池も見つからないし……」

指南書のドッグイヤーをしたページを開き、震える指でページをめくる。

『水源がない場合は、朝露を利用する。
草に付いた露は飲料水として使える。
布を足に巻きつけ、歩きながら集めよう。』

「……朝露……そうだ。昨日もこれを読んだんだ。
朝露は、今この時間帯しか集められない……急がないと」

彼女はザックの中からタオルを取り出し、両脚にしっかりと巻きつけた。

そして、草むらの中へ踏み出す。
冷たい露が肌を伝い、すぐにタオルがしっとりと重くなる。

「……冷た……でも……ちゃんと濡れてる！」

周囲の様子を確認しながら、慎重に歩く。
草をかき分け、木々の影を抜け、少しずつ範囲を広げていく。

しばらくして、焚き火跡へ戻ると、
タオルを外し、クッカーの上でぎゅっと絞った。

ポタ……ポタ……と、透明な水滴が落ちていく。

クッカーの底に、ほんのわずかな水たまりができた。

「……これで、どのくらいだろ……30mlくらい？　一口…か、二口……かな……」

少量。
けれど、確かに“水”だった。

「……飲む前に、念のため煮沸しておこう」

焚き火跡の灰を軽く掘ると、
赤くくすぶる火種が、まだかろうじて生きていた。

息を吹きかけ、乾いた小枝を足す。
ゆっくりと炎が戻ってくる。

クッカーを火の上に置き、水を温めていく。

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【サバイバル知識：朝露で水を集める】

朝露は、空気中の水分が冷えて植物に付着した水滴である。
比較的きれいだが、植物表面のホコリ・虫・菌が混ざる可能性があるため、可能であれば濾過と煮沸が望ましい。

タオルや布を足に巻いて草むらを歩けば、
10〜20分で30〜50ml（3〜5口程度）の水を得られることがある。

時間帯は早朝限定。
太陽が昇ると露はすぐに消えてしまう。

この方法の利点は、
探索と水分確保を同時に行えること。
水源が見つからない状況では、体力を無駄にせず、最低限の水を確保できる。

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「……できた」

十分に煮沸したあと、火傷しないよう少し冷ます。
クッカーの中の水面が、朝の光を受けて淡く輝いた。

両手で包み込むように持ち、口元へ運ぶ。

「……ん……あったかい……」

たった、三口ほど。

それでも、喉を通る一筋の水が、
体の奥まで、ゆっくりと染み込んでいく。

「これが……私が初めて作った『水』…」

ほんのわずかな量。
けれど、その一滴が、確かな希望になる。

空を見上げ、深く息を吸った。

「……まだ朝露が消えるまで、少し時間がある……水源を探しながら、もう一回、集めてみよう……！」

再びタオルを足に巻き直し、立ち上がる。
その足取りは、先ほどより、ほんの少しだけ軽かった。
　
　


2枚目はGemini産、3枚目はSDXLで生成し、手に持っているクッカーをGeminiで編集しました！　
Geminiのお陰で細かい表現がイラスト化できるようになったので、正直めっちゃ助かります！
文字だけでは補完しにくい所も（クッカーのサイズ感など）視覚的に表現できるのでありがたいです(*'ω'*)✨
　
猫乃つづりさんのユーザー企画「無人島サバイバル」が開催されていますが…
企画概要に「現在絶賛遭難中の方も参加可」というのが無いですが、
これで参加してもいいですかね？
つづりさんもしダメだったらタグ外しますので言って下さい！！
https://www.chichi-pui.com/events/user-events/cf849b7b-a53c-fbd1-964f-1f9746cf32a0/