ショートストーリー スケートの思い出
「わあ……ここ、すごく綺麗……」
柚葉はマフラーに顔をうずめながら、初めて履いたスケート靴の感触にそわそわしている。
「大丈夫、大丈夫。最初はゆっくりね!」
瑠花は慣れた様子で軽く氷の上を滑り、振り返ってにこっと笑った。その笑顔につられて、柚葉も恐る恐る一歩踏み出す。
――つるっ。
「えっ、あ……!」
次の瞬間、柚葉はバランスを崩して、氷の上にぺたんと座り込んでしまった。
「ほら言わんこっちゃない!」
瑠花はくすっと笑いながら、すぐに柚葉のもとへ戻ってくる。そして、手袋越しにあたたかな手を差し出した。
「はい、お手。ほら、ゆっくり立とう?」
柚葉は少し恥ずかしそうにしながら、その手をぎゅっと握る。
「……ありがとう。やっぱり瑠花さん、頼りになります……」
「当たり前でしょ。今日は私がコーチなんだから!」
瑠花は胸を張ると、柚葉の肩を支えながら、また一歩、もう一歩と導いていく。
転んで、笑って、また滑って。
氷の上でふたりの笑い声は、きらめく光と一緒に、夜空へと溶けていった。
呪文
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