本日のランチ
鰆の幽庵焼きと新じゃがのそぼろ煮定食は、春の和定食らしい落ち着きと香りのよさがきれいにまとまった一膳だった。
まず心に残ったのは、鰆の幽庵焼きの上品な香りである。焼き目の香ばしさの中に、柑橘の気配がふっと立ち、身はふっくらとしてやわらかい。強い味で押すのではなく、鰆そのものの旨みをやさしく引き立てる仕立てが実に心地よかった。
そこへ添えられた新じゃがのそぼろ煮もまた、よい脇役にとどまらない存在感を見せていた。
新じゃがはやわらかな甘みを含み、そぼろの旨みをまといながら、どこか春らしい明るさを残している。ほっとする味わいなのに、定食全体を地味には見せない。その加減がとてもいい。
焼きものの華やかさと、煮ものの穏やかさ。
この二つが無理なく並ぶことで、膳全体にきちんとした整いが生まれていた。食べ始める前から気分が上がり、食べ終えたあとには静かな満足が残る。外食の定食として、こういう着地はやはりうれしい。
派手に驚かせるというより、食べ進めるほどに「今日はこの定食でよかった」と思えてくる。
そんな春の昼に似合う一食であった。
次回は
「あさりと筍の炊き込みご飯定食」。
あさりの旨みと筍の香りを米に含ませた、春らしい炊き込みご飯で、季節の続きを味わってみたい。
— 田嶋達郎
呪文
入力なし