森の中を、風がそよぐ。新緑の葉が揺れ、太陽の光が木々の隙間からこぼれ落ちる。その静寂を裂くように、一羽の燕が空を舞った。素早く、鋭く、まるで風そのものが姿を持ったかのような動き。青年の目が、それを逃さずに追う。
佐々木小次郎、二十歳。
彼は、その細身の腕に似合わぬほどの長刀を握っていた。刃渡りおよそ三尺、二メートルを超える異様な長さの剣。その名も「物干し竿」。並の剣士には扱えぬ代物だが、小次郎はそれを軽々と操った。
幼いころから剣の道に生き、ただ勝つためだけに技を磨いた。彼が目指すのは、誰にも真似できぬ、究極の剣技。長い刀を最大限に活かし、一瞬で敵を討つ速さを極める。だが、それだけでは足りない。彼は考えた。さらに速く、さらに鋭く、まるで燕が空を裂くような斬撃を。
燕が空中で翻った瞬間、小次郎の目が鋭く光る。刃の切っ先がかすかに揺れた。
「秘剣・燕返し」
これこそが彼の目指す究極の剣技。空中で変則的に動く燕を仕留めるように、一撃の斬撃を二度、三度と繰り出す。剣圧が生む風が、二度目の斬撃を生み、まるで燕が二度跳ねるかのような軌道を描く。これを会得すれば、いかなる相手でも防ぐことはできない。
小次郎は深く息を吸い込み、燕の動きを見極める。そして、閃光のような速さで刀を振った——。
——勝負の時は近い。
能力名:燕返し
一撃で大ダメージを与えるスキルを発動可能。
能力名:宿命の決闘
特定の敵部隊に対して追加ダメージを与える。