スタイリッシュな少女22

使用したAI ChatGPT
■母とのおもいで
原作:ロボリテさん

死神は現象だ。奴らはいくら排除しても、「死」があるかぎり、何度でも現れる。
母の手術室の前で、ナオは立ち尽くす。
8時間にも及ぶ大手術、成功率は3割に届くかどうか。医者にそう告げられた。
だからナオは、母のもとに出現する死神を、彼女の異能をもって排除する。
母の「死」が取り除かれるまで。

黒い靄のようなものが、手術中を示す赤い表示灯に照らされながら、不気味に形をなそうとする。
させない。ナオが指先を拳銃のように構え、「消えろ」と呟くと、指先から白い光が放たれる。
その光はまさに弾丸のような速さで黒い靄へ飛び、死神の姿となるだろう靄を、中心から抉り、破裂させ、霧散させる。

それを、ナオは何回繰り返しただろうか。
”死”を拒絶する、類まれな才能。しかし、代償はある。
白い光の元となるのは、死の対象となる者との記憶。
ナオは一発一発、母と過ごした記憶を弾丸に変えて打ち出していたのだ。

春の緑が芽吹く庭で、母が淹れてくれた紅茶の香り。
ともだちのいない誕生日、母が、手ずから料理を並べてくれた食卓。
足が少し悪い母の歩調に合わせ、自然といつもよりゆっくり歩く癖。
志望校に受かったナオを抱きしめ、一緒に泣いてくれたぬくもり。
病室で、もしお母さんがいなくなっても、あなたは強く生きて、と手を握りしめ、涙をこらえる姿。

それらが黒い靄とともに消失していく。
大切な思い出のあった場所にぽっかり穴が空き、そこに何があったのかさえ、思い出せない。
ナオは涙を流しながら、しかし死神への攻撃をやめることはない。

どれくらい、それを繰り返しただろうか。
とうとう手術中の赤い表示灯が消え、手術室の扉が開いたとき、
ナオはなぜ自分がそこに立ち、どうして泣いているのか、まったくわからなかった。
だが、この状態は知っている。”死”を討ったときの自分だ。

「そこ、空けてください」
ストレッチャーを押す看護師に事務調に言われ、ナオはハッとなって体を横にずらした。
人の迷惑になっているというのが気まずかった。
ナオの空けたスペースを、二人の看護師に引かれたストレッチャーが通過していく。
ベッドに寝かされているのは、やつれた中年の女性だった。
青白い顔をしているが、確かに生が宿っている。死の影はない。

おそらくその女性のために異能(ちから)を使ったのだ。
ナオはすぐに理解したが、そこに何の感情も伴うことはなかった。
「……お腹すいたな」
全身の疲労感を感じながら、ナオは大きく伸びをした。
家に帰ろう。一人きりの場所に。だって、ずっとひとりだったんだから。

呪文

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