赤上小織(赤髪兄)「解せぬ……」
剣崎道一(剣道部主将)「いきなりどうした小織?」
隣を歩く幼馴染の赤髪兄こと赤上小織に声をかける剣崎道一。
小織は先ほどから何やら難しい顔をしている。
今日は小織や道一の家の近所のお祭りで、花火大会もやっていた。
お祭りのときは子供の頃から一緒に遊び回っていた小織と道一なので今年も一緒に回っているのだ。
しかし小織が先ほどから難しい顔をして首をかしげている。
道一「腹でも減ったのか?」
小織「さっきタコ焼き食べた」
道一「射的が全く当たらなかったからか?」
小織「さっきの射的屋のおじさん、恐らくイカサマして銃身を少し曲げてあるから、普通に撃っても多分当たらないよ」
道一「マジか………良く気付いたな…………じゃあ、かき氷が売り切れてたことか?」
小織「この暑さは売り切れるのも仕方ないと思う」
道一「………じゃあ、どうしたんだ?」
訝しげな道一。しかし小織はそんな道一を真っ直ぐ見つめて………。
小織「……なんで俺………女の子の浴衣着せられてるんだ?」
道一「いや、今更かよ!」
小織「何で⁉何で⁉おかしいじゃん!俺、母さんに『今年は浴衣着て行ってみたい』って言ったら、快諾してくれて、それで………母さんが『浴衣は着方が難しいから、着付けてあげる』って言うから任せてたのに……!」
道一「お、おう……」
小織「気が付いたら………出かけて、ここに向かってくるまでにいろんな人が俺のこと振り返って見てくるからおかしいと思ったんだ!そんでよく見たらこれ……女の子の浴衣じゃん!きっとみんな『うわ!あいつ、モブ顔陰キャ男子のくせに女子の浴衣着てるぞ!』『うわ!キモい!女装かよ!』『ちゃんと鏡見ろよ~』とか思ってたんだ!くっそ~!何で母さん…こんなこと!」
道一(そうだったのか……。何か女子の浴衣で来たからおかしいとは思ってたんだが………。まあ、きっとみんな小織が可愛いから振り返ったり2度見したりしてたんだろうけどな……。それにしても……志織おばさん…ナイス!)
悔しがっている小織と、内心喜んでいる道一。そしてそんな二人の気持ちとは裏腹に、夜空に盛大な打ち上げ花火が打ち上げられ、夜空に大きな花を咲かせていましたとさ。

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