旅人「これが神の繭?」
黄昏梟
神の繭は兵器ではない。“神”との通信機だ。
終末事変の直前に人類は異星文明と接触した。当時、人類はまだ太陽系を漸く出たばかりだった。
それに対して恒星間を押し渡るテクノロジーを有する異星文明は神と同義だった。異星文明との接触は人類文明を飛躍的に前進させた。
アムリタもシンカロンも人類単独では実現できなかっただろう。
だが、齎されたのは恩恵だけではなかった。
無限のエネルギー、ブラックホール工学を実現していた異星文明は、タイムトラベルによってエネルギーを過去と未来を反復させて、無限のエネルギーを生み出せた。
想像してみろ。例えば小さなマッチの炎を数秒間に無限に過去と未来を反復させたらどうなるか?どれほど小さな炎も莫大なエネルギーとなる。
旅人「素晴らしいことじゃない」
黄昏梟
そのままならな。だが人類は直ぐに無限エネルギーの兵器転用を考えた。この技術は人類には早すぎたのだ。
旅人「それと神の繭とどんな関係が?」
黄昏梟
まあ、慌てるな。長い話だ。
無限エネルギーを衛星兵器に仕込み、地球の周囲は衛星兵器で埋め尽くされた。当時、人類には統一政府さえなく、複数の国家に分断されていた。
政治家どもは衛星兵器は抑止力として働くと主張していたが、それは余りにも危うい均衡だった。
始まりは突然に来た。誰がどの国が引き金を引いたのかは分からない。分かるのは結果だけだ。太陽系全体に広がっていた人類文明は破壊され、150億人の人口は95%が死滅した。
大半の衛星兵器も撃ち落とさたが、1機だけが残ったのだ。その1機に攻撃命令を出せるのが、この“神の繭”なのだ。
旅人「なんでそんな名なの!?全然、神じゃないよ!」
黄昏梟
神の繭と呼び始めたのは越夜隊だ。奴等はこの衛星兵器が自分たちだけ残し、気に入らない者たちだけ殲滅してくれると信じているのだ。
旅人「そんな、馬鹿な!」「なぜそんなことを?」
黄昏梟
「狂信者とはそういう者だ。」
「いつの時代でもな。」
越夜隊
「知っていたのか?」
旅人、黄昏梟「!!!」
続きです。
https://www.chichi-pui.com/posts/c0dbd5b1-b031-4406-a59b-fc17f72e797a/1枚目∶神の繭
異星文明のテクノロジーを完全に理解することはできませんでした。人類は理解しないまま技術をコピーして人類と異星とのハイブリッドな通信機を作り上げました。シンカロンやその他の先進的テクノロジーにもその中心には異星技術のブラックボックスが存在します。
2枚目∶ 旅人、黄昏梟、越夜隊
3枚目∶神の繭を搭載した宇宙ステーション
人々はその正体を知らないまま、エネルギー源として利用してきました。長い年月の間に周囲には街ができています。
長文をお読みいただきありがとうございました🙇