オープンウォータースイム大会が終わって数日。
境内には夏の空気が残っていた。
社務所の縁側で――
エドワードは書類整理をしていた。
すると。
レ「暑いわねぇ……」
ら「まだ日焼けが痛ぇ……」
未「私も肩がヒリヒリする……」
乱「ママよりパパの方が焼けてるよね。」
ら「お前らまだそんなに焼けてんのか?」
ふと顔を上げる。
レイは巫女服の袖から見える腕が小麦色。
らんまはいつもよりさらに黒く焼けている。
乱麗も未麗も普段より明らかに日焼けしていた。
そして――
エ「ん?」
レイの左腕。
数字のような白い跡。
エ「レイさん、その腕どうしました?」
レ「ん?」
未「あー。」
乱「それね。」
ら「大会の名残だ。」
エ「名残?」
レ「エントリーナンバーよ。」
エ「は?」
左腕にはうっすらと『217』の数字。
その部分だけ日焼けしていない。
未「油性マジックで書いて泳いだから。」
乱「そこだけ焼けなかったんだよね。」
レ「恥ずかしいのよこれ。」
エ「へぇ……」
今度はらんまを見る。
ら「俺のもあるぞ。」
腕を見せる。
そこには『103』
の白い跡。
エ「本当だ!」
ら「10km組だからな。」
レ「ちょっと自慢してるでしょ?」
ら「そりゃな。」
未「私はこれ。」
乱「私はこれ。」
二人も腕を見せる。
数字が残っている。
エ「なんか勲章みたいだな。」
レ「実際そうかもね。」
ら「これ見るとさ。」
レ「うん。」
ら「また出たくなる。」
レ「わかる。」
乱「来年は私も距離伸ばそうかな。」
未「私も。」
エ「……。」
四人の腕を見る。
白く残った数字。
日焼けした肌。
楽しそうな表情。
エ「いいな。」
レ「ん?」
エ「その跡。」
ら「お?」
エ「頑張った証拠だろ。」
レ「そうね。」
未「えへへ。」
乱「そう言われると嬉しいかも。」
ら「ならエド。」
エ「?」
ら「次はお前の番だ。」
レ「トライアスロン。」
未「エントリーナンバー。」
乱「絶対残るね。」
エ「……。」
自分の左腕を見る。
ら「来年の夏。」
レ「エドも日焼けして。」
乱「番号残って。」
未「写真撮ろうね。」
エ「……やるか。」
ら「おう!」
レ「決まりね♡」
夕陽に照らされる四人の腕。
そこには大会を走り抜けた者だけが持つ、
エントリーナンバーの日焼け跡が、誇らしげに残っていた。 🌊☀️🏊‍♂️🏃‍♂️🚴‍♂️

社務所の机に向かいながら、
エドワード は一人考え込んでいた。
エ「……。」
左腕を見つめる。
機械鎧。
プールでは何とかやってきた。
アーティスティックスイミングも乗り切った。
だが――
エ「海か……。」
海水。
塩分。
砂。
長時間の浸水。
トライアスロン。
どれも機械鎧にとっては天敵だ。
エ「壊れたらウィンリィにKOROされるな……。」
その時。
ほ「どうしたんですか?」
ほたるが麦茶を持ってきた。
エ「実はな……」
機械鎧の不安を話す。
ほ「なるほど。」
エ「プールとは違うだろ?」
ほ「そうですね。」
エ「やっぱり無理かな。」
ほ「大丈夫ですよ。」
エ「え?」
ほ「私、サーフィンやりますから。」
エ「あ。」
そうだった。
ほたるは海に慣れている。
ほ「ボードの金具も海水で傷みます。」

ほ「だから終わったら真水で洗います。」

ほ「乾燥もします。」

エ「つまり……」
ほ「メンテナンスをちゃんとすれば何とかなります。」
エ「おぉ……。」
ほ「もちろんウィンリィさんには相談しましょう。」
エ「そうだよな。」
ほ「でも私は賛成です。」
エ「本当か?」
ほ「はい♡」

ほ「エドが楽しそうだから。」
エ「ほたる……。」
ほ「らんまさんと頑張ってください。」

翌日。札幌。
ウ「海?」
エ「うん。」
ウ「海?」
エ「うん。」
ウ「機械鎧で?」
エ「うん。」
ウ「却下。」
即答。
エ「早い!」
その横で。※「新企画編」参照。麗馬と良冥を見守るため、あの世から来てもらいました。
杏「待ったぁぁぁぁっ!!!!」
ウ「誰!?」
ア「また知らない人増えてる……。」
杏「若者の挑戦を止めるな!!」
ウ「いや止めるわよ!」
杏「青春だぞ!!」
ウ「機械鎧よ!!」
杏「青春だ!!」
ウ「機械鎧!!」
杏「青春!!!!」
ア「会話になってない……。」
そこへ。
ほ「私も賛成です。」
ウ「ほたるちゃん!?」
ほ「メンテナンス計画を立てれば可能です。」
資料を差し出す。
ウ「……。」
ほ「海水対策。」

ほ「洗浄手順。」

ほ「応急修理。」

ほ「交換部品。」
ウ「準備良すぎない?」
ほ「昨夜作りました♡」
エ「いつの間に!?」
ア「ほたるさん本気だ……。」
ウ「……。」
資料をめくる。
ウ「仕方ないわね。」
エ「おっ!」
ウ「条件付き。」
エ「きた。」
ウ「私とアルも帯同。」
ア「え?」
ウ「ほたるちゃんも同行。」
ほ「はい♡」
ウ「毎日点検。」
エ「はい。」
ウ「勝手な改造禁止。」
エ「はい。」
ウ「壊したら正直に申告。」
エ「はい!」
杏「素晴らしい!!」
ウ「あと。」
エ「?」
ウ「完走しなさい。」
エ「!」
こうして、エドワードの最大の壁だった『機械鎧問題』も解決の目処が立ち、
いよいよ愛子コーチによるオープンウォータースイム特訓編
が本格的に始まるのだった。 🌊🏊‍♂️⚙️🔥⛩️

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