小織くんママになる！？

その日赤髪兄こと赤上小織は部屋でスピョスピョ寝息を立てていた。
あまりに暑いので、昼食の後クーラーの効いた部屋でお昼寝をしていたのだ。
小織「う～ん………むにゃむにゃ……あ♡…ダメだお……そんなとこ触っちゃ………」
コイツ一体どんな夢を見てるんだ？と非常に疑問の残る寝言を言っている小織。
小織「う……むうん………やだ……クロロホ…ルム……で……口…塞がないで……」
なんか夢の中でも誘拐されかけている。何とも哀れである。
小織「やめて……太田……くん…………何で…そんな………俺にエッチな……こと………」
よりによって数少ない友達であり、オタク仲間の太田栗夫（オタク君）に襲われる夢を見ているようだ。
と言うか、ぶっちゃけ太田君に失礼である。
その時……。
コンコン！
小鈴「お兄ちゃ～ん？入るよ～？」
返事もきかずに入ってくる妹の赤髪ちゃんこと赤上小鈴。
小鈴「あれ？お兄ちゃん寝ちゃったの？」
そう言うと小鈴はコッソリと……抜き足差し足忍び足で小織に近づいていく。
小鈴「フフフ……お兄ちゃんの寝顔カワイイ♡……このままキスしちゃおっかな～」
夢の中の太田君よりも現実の小鈴の方がよっぽど危険な気がする。
そしてさらに小織に近づいた小鈴は………。
小鈴「…………んえ？」
変な声を上げる小鈴。
小鈴「えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！？」
さらに大絶叫。そのうるささに小織も目を覚ます。
小織「う～ん……小鈴？……何だよ、うるさいなぁ……」
小鈴「お、おに……お兄ちゃん！」
小織「え？鬼？………何？俺に角でも生えた？」
小鈴「角は生えてないけど……」
小織「うん？」
小鈴「子供は出来たみたいだね………………一体誰との子供よお兄ちゃん！昨日までこんな子居なかったよね！ってことは、今産んだの！？お兄ちゃんが産んだの！？」
小織「え？産んだ？………お前なに言って……？」
訳が分からず頭の上に？マークを浮かべる小織。しかし小鈴は止まらない。
小鈴「パパ～！ママ～！お爺ちゃ～ん！お兄ちゃんが子供産んでママになったぁ！」
天馬（父）「はあ！？」
志織（母）「今！」
伊織（祖父）「何と言った！？」
メッチャ高速で小織の部屋に押しかけて来る天馬と志織と伊織。
そして小鈴の指差した先には………寝ぼけまなこの小織と………そんな小織の脇腹にしがみ付いている小さな小織。
小織「うえ！？………な、何これ！？」
天馬「何これはこっちのセリフだ！おい小織！一体誰との子供だ！？」
小織に迫る天馬。伊織もガッシリと小織の肩を掴む。
伊織「何時産んだのじゃ！お前が妊娠しているなど……まったく気付かなかったぞ！」
天馬「一体誰の………………まさかアイツか！？剣崎！お前の幼馴染の剣崎道一との子供なのか！」
捲し立てる伊織と天馬。ちなみに天馬は剣崎君のことがキライである。
天馬「おのれ………ゆるさん！許さんぞ剣崎道一！」
拳を握りしめて怒りを露わにする天馬だが、その頭を志織が引っ叩く。
志織「落ち着け天馬。ボー〇ボのとこ〇てんの介みたいになってるぞ」
天馬「は！」
志織の言葉で若干落ち着く天馬。伊織も少し冷静さを取り戻している。
小鈴「どうしよう！もしかして………私とお兄ちゃんの子供！？」
志織「いや小鈴、アンタが産んだ覚えが無いんならそれはないでしょ。小織は男で産むはずの女はあんたなんだから」
小鈴「そうだった～！」
自分と兄の子ではないと発覚し、ショックを受ける小鈴。
小織「………………って言うか……ホントにこの子一体何？」
伊織「どう見てもおぬしの子じゃろう。そっくりではないか」
天馬「そっくりと言うか……小さいだけでもう瓜二つ？」
志織「もしかしてクローンとかじゃないでしょうね……」
その時、小鈴がポンと手を叩いた。
小鈴「分かった！これ……赤髪お兄ちゃんズだ！」
天馬、志織、伊織「「「は？何て？」」」
小鈴「赤髪お兄ちゃんズ！何かこの間お兄ちゃんが分裂したことがあったらしくて………その分裂した状態を赤髪お兄ちゃんズって命名したの！多分それだよ！」
志織「………分裂……？」
天馬「うちの息子はアメーバとかスライムの類だったのか？」
小織「そんな訳あるか！」
その後、小さい小織をちょっと勢いをつけて小織にぶつけたら、本当に融合して元に戻った。
天馬「………何だったんだ一体？」
伊織「………どうせ魔女であるコヤツの従姉の摩耶の悪戯じゃろう」
小織「あ、納得」
後日、魔女であり同級生でもある従姉の黒間久摩耶に文句を言った小織。「そんなの知るか！」と逆ギレされてそのまま大喧嘩になったとさ。