神の繭封印作戦・下

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神の繭封印作戦・上
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ニューカナヤマの旅人陣営との交渉に成功した黄昏梟は、コバルトジェネレータから余った電力を回収し、蓄電装置に収めて持ち帰った。
残すは、復元が済んだテレポーターを、阿鼻叫喚そのものの戦場のどこに、どのように設置するかという問題だけだ。
無差別に襲い来る巨大なアノマリィ、大地を埋め尽くす兵士と尼僧、空を縦横無尽に飛び交う戦闘ドローンとイカロスたち。
…これらの猛攻を掻い潜って安置するのは、どう考えても不可能だろう。
悩んだ末、テレポーターのフレーム部分と動力部を分けて遠隔式に改造し、フレームのみを戦場に持っていくという結論に達した。

『こちらフレーム班。準備できました!』
『戦闘班、こちらも準備完了です! 指示があり次第、周辺の越夜隊の排除にかかります』
『動力班も全員配置につきました。現在待機中です』

あとは号令に合わせて神の繭から越夜隊を遠ざけ、その一瞬の隙を突いてテレポーターを起動すれば良いのだが…
フクロウたちは、ここで新たな問題に直面することになる。
フレームを取り外し式に改造したことで、テレポート範囲が不安定に。確実に対象を瞬間移動させるには、ポータルの中心を手動で指定する必要が出てきた。つまり、座標指定のための機器を持った誰かが、神の繭に隣接する必要がある。
しかし、その”誰か”を誰にするのか。フクロウたちは決断できずにいた。
なぜなら――

――その”誰か”は、神の繭と共に深宇宙に送られてしまうのだ!

神の繭の元まで辿り着ける機動力と戦力を持った優秀な兵士一人を、生贄に捧げなければならない。
誰もがその残酷な決断を下すことができずに口をつぐんだその時だった。

「その役目、私に任せてくださいませんか」

進み出てきたのは、美しい金髪をなびかせたイカロスの女性。
そのボディは戦闘であちこち傷付き、露出したコアの放つ光は、今にも消えてしまいそうなほど弱々しい。

「私はもう長くはありません。機能停止を待つだけのこの身が、最後に皆様のお役に立てるのならば光栄です」

イカロスはゆっくりと跪くと、華奢な両手で機器を受け取り、夏空の果てへと旅立っていった。
神の繭と共に消えゆく彼女の命の最後の輝きを、フクロウたちはいつまでも見送っていた。

***

こうして、神の繭とアノマリィによる危機は去った。
だからといって、この世界から争いが消えたわけではない。今も各地で衝突は絶えず、緩やかに滅びへと向かっている。
発見されていない”終末事変の原因”も、いまだどこかで眠ったままだ。

それでも、人々は歩み続ける。
この終わりなき夏底で。

呪文

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