『30歳、俺が魔法少女！？』

薄暗い部屋で、山田誠司（30）はPCのモニターをぼんやりと見つめていた。
休日の午後、彼の唯一の趣味であるオンラインゲーム「魔法の国のプリンセス」の画面が静かに輝いている。
ゲーム内では美しい魔法少女たちがモンスターを華麗に倒し、友情と絆を深めていく――誠司には無縁の世界だった。

「俺もこんな風に輝けたらな……」 ふと、誠司はつぶやいた。

だが現実の彼は、冴えない30歳の会社員で、恋愛経験もゼロ。
「魔法少女」なんて、2次元の中だけの話だと思っていた。

その時だった。
机の上に置かれていた古びたペンダントが、突然眩しい光を放ち始めたのだ。

「な、なんだこれ！？ 買った覚えなんかないぞ……」

光の中心から、どこか神秘的な声が響く。

**「選ばれし者よ……お前に、魔法の力を授ける。」**

驚く誠司の前に、ペンダントから小さな妖精のような存在が現れた。羽をきらきらと輝かせたその姿は、ゲームの中で見た魔法少女の仲間そっくりだった。

「待て待て！ 俺が魔法少女？ いやいや、男だぞ！？」
誠司は必死に否定するが、妖精は無表情で言い放つ。

**「性別は関係ない。30年の間、純潔を守り続けた者に与えられる資格だ。」**

「純潔って……！」
羞恥と困惑が入り混じった表情を浮かべる誠司。だが、次の瞬間――ペンダントが再び強烈な光を放つ。

「ちょ、待て！ 本当にやるのか！？ おい、俺の許可――」

光に包まれた誠司の体がふわりと宙に浮き、周囲がまるで異世界に引き込まれるように変わっていく。彼の着ていたTシャツとジャージが虹色の光に変わり、ひらひらとしたフリル付きのドレスへと姿を変えた。頭にはティアラ、手には杖が現れる。

「えぇぇぇ！？ な、なんだこの格好は……！」
鏡に映る自分の姿を見て、誠司は言葉を失った。そこには、完全に「魔法少女」と化した自分が立っていたのだ。

妖精が微笑みながら一言。
**「ようこそ、魔法の世界へ。」**

こうして、30歳の童貞男・山田誠司は、自らの運命と向き合う魔法少女としての冒険を始めることとなった――。