独眼竜の決断 〜小田原参陣、命運を賭けた一礼〜

天正18年（1590年）、天下統一を目前にした豊臣秀吉は、小田原の北条氏を包囲していた。戦国の雄たちが次々と秀吉のもとへ参陣する中、ひと際遅れて現れたのが奥州の若き独眼竜・伊達政宗であった。
政宗は当初、秀吉の「関東以北の大名は、小田原に参陣せよ」という命に従わず、独自の動きを見せていた。だが、北条氏の敗北が確定的となるや、急ぎ家臣たちに命じて戦支度を整え、満を持して小田原へと向かった。しかし、すでに包囲戦は終盤に差し掛かっており、秀吉のもとへ馳せ参じるには遅すぎる時期であった。
到着した政宗を迎えたのは、異様な沈黙と冷ややかな視線。豊臣方の諸将だけでなく、床几に悠然と腰掛ける秀吉自身も、じっと彼を見つめていた。遅参は即ち、「逆らう気があったのか」と疑われる行為。この場の振る舞い次第では、伊達家は滅亡の憂き目に遭う。
そこで政宗は、潔く白装束に身を包み、あえて「死に装束」で秀吉の前に現れた。これは「もし我が行いが許されぬならば、この場で討たれる覚悟あり」という意思表示である。そして、緊張感が張り詰める中、政宗は秀吉の前で深々と頭を下げた。
──そして次の瞬間、彼の口から飛び出したのは、予想だにしない言葉だった。
「ごめんねごめんね、許してちょんまげ！」
場の空気が一瞬止まる。傍らに控える豊臣家の小姓たちが、何を聞いたのかと目を丸くした。畏まった死に装束に身を包みながらも、まるで軽口のようなこの言葉。しかし、その表情には決してふざけた様子はなく、むしろ政宗なりの精一杯の屈服と誠意が込められていた。
しばしの沈黙の後、秀吉が破顔する。「面白いやつよ」とでも言いたげに笑い、持っていた扇を軽く振った。「もはやよい」と言わんばかりの仕草に、周囲の緊張もようやく解ける。政宗の計算された振る舞いは功を奏し、伊達家は滅亡の危機を免れたのだった。
この瞬間、伊達政宗という男が、単なる武勇の将ではなく、機転と大胆さを併せ持つ、天下に名を馳せる武将であることを、改めて天下に知らしめることとなった。

能力名：独眼竜の突撃
奇襲時のダメージを大幅に上昇させる。

能力名：天下の伊達者
敵部隊の士気を下げつつ、自軍の士気を上げる。