本日のランチ

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『食彩探訪』11月号特集

「11月25日　澄んだ塩味が染みわたる──鶏団子と野菜の塩煮セット」
文・撮影：田嶋 達郎（グルメ記者）


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昼の光がやわらかく差し込む店内で、
湯気が立ちのぼる大鉢が運ばれてきた瞬間、
「これは絶対に身体に染みるやつだ」と確信した。

今日ご紹介するのは、鶏団子と野菜の塩煮セット。
見た目こそ控えめだが、その湯気の奥に隠れている優しさは強烈だ。

主役の鶏団子は、驚くほどふんわりとしていて、
噛むとじゅわっと旨みのスープが口の中に広がる。
塩味は決して強くなく、丸みのあるやわらかい味付け。
鶏の旨みと野菜の甘さが自然に溶け合っていて、
「素材の味って、やっぱりいいな」としみじみ思わせてくれる。

野菜は、大根、にんじん、白菜、しめじ……冬の入り口を感じるラインナップ。
煮崩れしない絶妙な火入れで、
どれもみずみずしさを保ちながらスープの旨みをしっかり吸い込んでいる。
大根なんて、箸を入れた瞬間にほろりとほどけてしまうくらいだ。

セットのほうれん草のおひたしは、塩煮の優しい味わいと相性抜群。
さっぱりとした青味が全体のリズムを整えてくれる。
浅漬けのきゅうりはパリッと爽快で、小さなアクセントとして存在感がある。
そして、湯気の立つ味噌汁がまた嬉しい。
塩煮のスープとは違う種類の“和の温もり”で、食卓に厚みを出してくれる。

仕上げに茶碗の白ごはんを口に運ぶと──
塩煮のだしと自然に寄り添い、
何とも言えない満足感が胸に満ちる。

派手さはない。
だが、この“静かな美味しさ”こそ、実は一番忘れがたい。


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◆次回予告

11月26日：香ばしさが食欲を誘う──「鶏味噌焼き定食」を予定。
焼き目の香りと濃厚な味噌だれの誘惑、どうぞお楽しみに。

──今日も、いい湯気だった。