🍕楓花家・ピザ爆発事件（完成後編）

休日の昼。
柚月がリビングでくつろいでいると、キッチンから楽しげな声。

理久「よーし！ 今度はピザ！ 絶対安全！ 絶対成功！」
柚月「その“絶対”を何回聞いたことか……」

今回は材料も普通だった。
小麦粉、トマトソース、チーズ、ベーコン。
——ここまでは。

問題は、その後に加えた
“熟成強化スパイス・試作版”
“うま味抽出粉末G”
“発酵促進液α（※発酵しすぎる）”

柚月「ねぇ、それ絶対入れちゃいけないカテゴリのやつ」
理久「ちょっとだけだから大丈夫！」

ピザをオーブンで焼くこと10分。

理久「できた！」
柚月「……見た目は普通だ」

チーズもとろとろ、良い匂い。
こんなにまともそうな料理は久しぶりだった。

理久（胸を張って）
「ほら、ついに“爆発しない料理”が——」

その瞬間。

ピザの中心が、もぞっ……と動いた。

柚月「ねぇ、動いてる」
理久「温度差でチーズが揺れただけだよ！」

次の瞬間。

ふくっ……
ぶくっ……
ぼこっ……

柚月「待って、それ鼓動してるって！」
理久「……ちょっと予想外かも」

そして——

💥ドッガアァァァンッ！！

ピザが円盤状のまま宙を舞い、天井に完璧な円形のシミを残して爆散した。
チーズが雪のように降りそそぐ。

柚月「なにこれ！！ ピザって完成後に爆発する料理じゃない！！」
理久「でも……香りは最高でしょ？」
柚月「爆発後の香りなんて評価基準にないの！！」

落ちてきたピザの破片を拾って味見する理久。

理久「……うん、味は優勝。」
柚月「味だけ優秀なのほんとタチ悪いよ！！」

📌ラスト一言

理久「次は“絶対に爆発しないドリア”に挑戦する！」

柚月「もう聞きたくないその宣言……」