いつか使えるかもしれない知識その12「海水の蒸留」
 

朝露を集め終えたあとも、
喉の奥に残る渇きは、完全には消えなかった。

「……やっぱり足りないなぁ……全然……」

空になりかけたクッカーを見つめた。
草に乗った朝露が渇いてしまう時間まで、
2回、3回と繰り返し朝露を集め得られた水は、せいぜい数口分。
体を動かせば、すぐに失われてしまう量だ。

「まだ水源が見つかっていない……」

森の方角に目を向ける。
どこかに川や沢があればいい。
けれど、昨日一日歩き回っても、それらしいものは見つからなかった。

「……なら……」

ふと、指南書の一節が頭をよぎる。

『水源が無い場合、海水を蒸留することで飲料水を得ることができる』
 
※『いつか使えるかもしれない知識 その5 「飲水の確保方法」』より
https://www.chichi-pui.com/posts/796a3b6c-4d5f-4867-a4ef-149c86003463/


「……蒸留……」

海なら、今の寝床から少し歩けばすぐそこにある。
水そのものは、無限と言っていい。


問題は――方法だ。

立ち上がり、海に向かう。
何もないまっさらな砂浜にしゃがみ込み、海を見つめる。

「……塩水を……沸かして……水蒸気を集める……」

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【サバイバル知識:蒸留とは何か】

蒸留とは、
水を一度蒸発させ、その水蒸気を冷やして再び水に戻す方法である。

この工程では、
・塩分
・泥
・砂
・多くの細菌や寄生虫
・重たい不純物

といったものは、水蒸気と一緒に移動できない。

そのため――

たとえ元が海水、泥水、汚水であっても、
正しく蒸留できた水は「真水」になる。

飲用に適した水を得られる可能性がある、
非常に強力な浄水方法のひとつだ。

ただし注意点も多い。

・蒸留には「熱源」が必要
・水蒸気を集めるための構造と容器が不可欠
・揮発性の化学物質(燃料・溶剤など)が混ざっている場合は、
 蒸留しても安全にならないことがある

また、蒸留には時間がかかり、
得られる水の量も少ない。

そのため蒸留は、
「楽な方法」ではなく、
**水源が無い状況での“最後の切り札”**として考えるべき手段である。

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頭の中で、仕組みを整理する。
理屈は分かっている。
問題は、道具が足りないこと。

手元にある使えそうな物は、
小型のクッカーと、その蓋だけ。
今いる砂浜に漂流物は流木ぐらいしか見当たらない。
 

「……本来なら……もっと大きな鍋が必要で……
中に容器を置いて……蓋を逆さにして……」

そう呟きながら、
クッカーを砂の上に置いて、何度も角度を変えてみる。

「……無理、ですね……」

まず海水を溜めるにしても容器が小さすぎる。
それに、蒸留した「真水」を溜めるための容器がない。
さらに、クッカーの蓋は平らで、水滴が落ちる“一点”を作れない。

それでも、何もしないよりはいい。

「……試すだけ……試してみよう……」

クッカーの残っていた朝露を水を飲み干し、
クッカーに海水を注いで、再び焚火まで戻る。

焚火に太めの枝を何本か入れ、その上にクッカーを乗せる。

火は、昨日より安定している。
炎の管理にも、少し慣れてきた。

やがて、海水が温まり始め、
クッカーの内側に白い湯気が立つ。

「…いける……」

蓋の裏側に、水滴が付く。
確かに、蒸留は起きている。

「……でも……」

蓋を持ち上げると、
その水滴は、ぽたぽたと落ち――

元の海水の中へ、戻ってしまった。

「……あ……」

何度やっても同じ。
水蒸気は発生する。
だが、飲める水として分離できない。

「……仕組みは……合ってるはずなのに……」

喉が、ひりつく。
唇が乾く。
 
冷めた蓋の裏に残ったかすかな水滴を舐めてみるが、到底満足のいく量じゃない。
せいぜい舌の上が濡れる程度。
これでは、喉の渇きは潤せない…
なにより、効率が悪すぎる。
この方法を繰り返したとしても、得られる水分量は圧倒的に足りない。

焚き火の熱と、太陽の光で、
逆に体の水分が奪われていく感覚がした。

「……だめですね……このままじゃ……」

一度焚火から離れ、深く息を吸う。

「……今日のは……試作…」

無理に続けても、体力を消耗するだけだ。
今は、“できない理由”を把握する段階。

失敗を悔やむんじゃない。次につなげるんだ。

「……容器が……蒸留器を作る材料が足りない……
水滴を集める……形が……作れない……」

日陰に座り込み、しばらく動けなかった。

寝床からでも遠くの方に見える先には、広がる海。
水は、いくらでもあるのに。

「……水が……あるのに……飲めない……」

喉を鳴らす。

無意識に、ザックの中にある
500mlのペットボトルの存在が、頭をよぎる。

「……まだ、使う時じゃない」

自分に言い聞かせるように、小さく呟いた。

今日の蒸留器は、失敗。
けれど、仕組みは理解できた。

「……大きめの容器……それと……水が一点に集まる形……」

再び立ち上がり、歩き出す。

浜辺を見渡しながら、
次に使えそうな“何か”を探すために。

水との戦いは、
まだ、始まったばかりだった。
 
 
2枚目はGemini産なのですが、しゅごい…🤤
3枚目からは没シーンというか…ストーリーとは関係無いおまけの未公開シーンです!!✨
今回はR-15もあるよ(*'ω'*)
 
~追記~
諸事情により急遽R-18版も追加いたしました(*'ω'*)✨

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