ロスジェネ 第4話

連載1週遅れすみません💦

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第4話「鍵と藤木と小宮」

藤木の言葉が、耳から離れなかった。

「もしさ、“昨日をやり直せる”としたら、お前はどうする？」

それはただの比喩なんかじゃなかった。
そう確信してしまうほど、藤木の瞳は“知っていた”。

蓮は帰宅後、再び『Re:GEN』を開いた。
「使用回数：2／???」
「次回リープ可能：4月3日 午前2時以降」

つまり、次のリープまで――あと1日。

「このままじゃ、ただ繰り返すだけだ……」

あの銀の鍵。あの謎の男。
そして、藤木。──もう一人、小宮も。

今日、初めて会話を交わした小宮遥。彼女の目には、何か陰のようなものが宿っていた。
“たまたまPCを落としそうになった”――あれは偶然だったのか？

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翌朝、蓮は少し早めに出社し、ロビーで小宮の姿を待った。
彼女が社屋に入ってきた瞬間、思い切って声をかけた。

「おはよう、小宮さん。……あの、昨日のことだけど」

「あっ、遠野くん。昨日はありがとう」

少しだけ笑った彼女の目。そこに、ほんの一瞬だが――“怯え”が走ったように見えた。

蓮は、鞄からあの銀の鍵を取り出した。

「これ、何か知ってる？」

小宮の瞳が大きく開く。
そして……言葉がこぼれた。

「……どこで、それを……？」

「やっぱり、何かあるんだろ？」

彼女は数秒間、唇を噛み締め、それから周囲を見回した。
そして、声を潜めて言った。

「休憩時間、屋上に来て。……ちゃんと話す」

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昼休み。屋上の端に、彼女は立っていた。
都心の喧騒を遠くに感じながら、蓮は彼女の横に並ぶ。

「正直、信じてもらえるかわからない。でも……私も、一度だけ“戻った”ことがある」

「え？」

「3日前。ううん、正式には“2回目の3日前”。私が会社のエレベーターで事故に巻き込まれそうになって――気づいたら、その朝に戻ってたの」

それは、蓮が「初日」にリープした、同じ日だった。

「そのとき、ポケットにこれが入ってたの」

小宮は、自分の鞄から同じ銀の鍵を取り出した。

「これ、何か意味がある。もしかしたら、持っている人間にだけ“Re:GEN”が見えるのかも」

蓮は深く息を飲んだ。

「藤木も、もしかしたら……」

「彼も？」

「いや、わからない。ただ、雰囲気が違う。“俺なら昨日言えなかったことを言う”って、そう言ってた」

「……それ、“経験者”の口ぶりだよ」

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その日の帰り、蓮は藤木に声をかけた。

「なあ、ちょっと話せるか？」

「ん？ どうした？」

「“昨日”って言ったよな。お前……もしかして」

藤木は一瞬、立ち止まった。
その目には、確かに――諦めと覚悟が浮かんでいた。

「遠野、お前、もう“気づいた”のか」

その一言で、すべてが確信に変わった。

「お前も、繰り返してるんだな」

藤木は苦笑しながらポケットをまさぐり、
――同じ銀の鍵を取り出した。

「ようこそ、“ルーパー”の世界へ」