海の家の手伝いを終えた次の日。
アヤナギ荘の面々は、真夏の海を堪能していた。

「ほらほらシロ、
 日焼け止め塗ってやるからここに横なりな」
「…手つきがなんだかいやらしいので、
 お断りします」

不敵な笑みを浮かべながら、
手をワキワキさせるクロキ。
そんな妖しいクロキを、
目を平たくしてシロキは見つめる。
…とそんな時、背後からイチノがシロキに抱きつく。

「うちとクロキさんは元から肌黒いけど、
 シロキさんは塗らんとダメじゃんね」
「イ、イチノ!! …や、やめ、っひゃう!」
「シロキさんの柔肌失礼しま~す」

抑え込まれたシロキは、されるがまま入念に、
体中に日焼け止めを塗られたのであった。

「う~ん。これは眼福。
 日頃のデスクワークで溜まった
 目の疲労に効いている気がするですぞ」

海の家の席から、
少し遠くではしゃぐ彼女らを明芽は見つめていた。
そして、
休憩したり遊んだりしている内に、やがて日も暮れ。
この日のメインイベントが始まった。

甲高い音を鳴らしながら、火球が昇っていく。
次の瞬間、和太鼓のように音を轟かせ咲き、
パラパラと連鎖する火花は散っていく。

一時間に満たない、少しばかり短いまにま。
揺れる水面には、鮮やかな輝きが陽炎のように写る。
鼻を掠める火薬の匂いと、荒々しく切ない響。

こうして、海の家での一件は幕を閉じた。
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