ときに西暦2084年3月

使用したAI Stable Diffusion XL
「こちらオオスベース。ISORSコントロールどうぞ」
「ISORS、どうぞ」
ぼーっと眺めていた画面に通信アイコンが出るとリンはタップして応答する。
「オオス、データリンク周波数の変更、予定通り5.45ギガヘルツへ切り替え願います」
「えっとまだ結果フィードの送信が終わってません、系統切り替えと同時に衛星コンステレーションでのリンクを要請します」
リンは送るべきデータのプログレスバーがまだ9パーセントほど残っているのを見た。
どう見ても間に合いそうにないので基地局が”裏”に回る前にリレー衛星での回線を確保したかった。
「了解、SAT1を考慮します。・・リン今日ね」
「今日です。ようやく」
画面にはステーション各部の進捗が表示されている。MAYUの表示だけがNOTReadyと表示され赤く点滅していた。
「始動までまだ足並みが揃ってないけど、基地局の自律制御はONで構わないですよ。MUNIにも仕事してもらわないと」
『わたしは正常に作動しています』
音声合成の声が反論する。
カメラのレンズをコンコンと叩きながらリンは続けた。
「立ち上げしたらようやく帰れるわ。」
「ちょっとさみしいんじゃ?」
「あーうん繭にかかりっきりだったから。貴方の顔を忘れそうなほど」
「ひどいなぁ・・・あっと、ミッションアップデート予告にないロンチを確認。船外カムの11番をダークサイドへ向けてくれ」
「補給は明日でしょ。なんなのかしら」
船外カメラ11番を地球の食側、夜になっている部分へ向ける。大きな光とともに宇宙機が上がっている様子が見えた。
「いいぞよく見える。太平洋沖のどこからか打ち上げだ。映像フィードをそのまま送信で頼む」
「ISORS、アファーマティブ。スケジュールにない打ち上げ?」
リンは身を起こして操作盤の緊急ボタンの保護カバーを開ける
「オオスからISORS、スタンバイ。予定外・・・おそらく何らかの問題が」
「ISORS、オオス・・えっと」
突然ガコンと衝撃が走った。
瞬間的に緊急ボタンを押すリン。それより先に警報が鳴り、目の前がうっすら霧がかる。気密が破られたためだ。
「リン、聞こえるかリン・・・」
隔壁がベコンと音を立てる警告灯がいくつも点灯しているが補給機や宇宙機を接舷するドッキングポートより先のセンサーが全滅していた。
「ISORS一方送信。地上局への制御移管を強制する。ユウキ、ごめんね戻れそ・・・」
アクティベート。この研究だけは仕上げたかった。機器が作動して球体の中が光だしMAYUは目覚めた。
起動プロセスをかけて、地上へデータリンクを開始した。
MAYUと人工知能MUNIがあればココが制圧されても制御は地上が行い誰かに奪われることはない・・はず。
再び大きな衝撃。硬質アクリルだったバブル窓が窓枠ごと吹き飛んで研究モジュールは真空となった。

ときに西暦2084年3月、究極の科学と言われたISORSとMAYUは高度1000kmで孤立した。
終末事変の始まりであった

呪文

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