物資を求めてフラットランドを訪れた『旅人』の一団。
ドローンなどが徘徊する危険なエリアであるが、
幸いそれらの妨害を受けることもなく、食料庫と思われる一角にたどり着いた。
瓦礫の中に無造作に積まれている大量の缶詰。
おそらく、世界が終末を迎える前に製造・備蓄されていたものが
そのまま放置されていたのだろう。

『旅人』の女の子は一つ缶詰を手に取り、それに書かれていた文字を読んだ。
「みそ…かつ?」
それは、かつて名古屋と呼ばれた大都市のソウルフード「味噌カツ」の缶詰。
ちょうど腹を空かせていた女の子は、意を決して缶を開け、その中身を頬張った。
「…おいしい。」

地下シェルターで生を受け、生きるためだけに食べ物を食べてきた女の子が、初めて「おいしい」という感覚を覚えた瞬間だった。

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