川の水について

いつか使えるかもしれない知識　その4話　「川の水」
　
「とりあえず動く前に、指南書を読んで何をすればいいのか計画を立てましょう。」
　
「えぇっと…サバイバル中の水…（ペラペラ）」
　
　
水は、人体にとって最も重要な要素のひとつである。
人間の体の体重の約60％が水で出来ていると言われている。
水分量が40～50％にまで落ちると生命維持が不可能になるため、毎日平均して1日2.5リットルもの水を補う必要があります。
水分摂取量が不足すると重大な事故や健康障害をきたす可能性があります。


「2.5リットル…今手元にあるのは500ml…」
　
「水の確保が本当に最優先の様ですね…」
　　

　
「第4項　川の水」

河川や水辺がある場合、サバイバルにとってこれほど助かることは無い。
しかし、川や水辺の水をそのまま飲むのは非常にリスクが有る。
　

まずは、どんなに綺麗な水に見えても小さな屑やゴミ、砂、汚れなどが含まれています。
どんな水でも必ず濾過をした方が安全だ。
　

濾過装置や浄水器を持っていな場合は、ペットボトルなどの容器があれば自作することが可能なので作り方を覚えておきましょう。
空のペットボトルの底を切り、蓋には穴をあけておきます、ペットボトルを逆さにして、
ろ紙（ティッシュや脱脂綿・丸めた布でも代用可）・小石・砂利・木炭・砂・布の順に詰め、切った底からの水を注ぎ、蓋の方から出てきた水を、容器に溜めます。
汚れがある場合は、再度濾過し、水がきれいになるまで繰り返す。
　
「幸いペットボトルは手元にあるので、中に入っている水を飲んだらろ過装置の材料として使えますね！」
　
「しかし、現状まともな容器はクッカーとこのペットボトルのみ…底を切ったりしないといけない以上、判断は慎重に行いましょう。」


また、川の水には目に見えない細菌やウイルス、大腸菌、ピロリ菌、寄生虫などが含まれている可能性があり、それを摂取すると重大な感染症にかかる可能性がある。
大腸菌による感染症を引き起こすと、下痢や嘔吐、腹痛といった消化器症状を引き起こす。
また、腸管出血性大腸菌（O157など）など重症化する感染症になる事もある為注意が必要。

十分な飲水が確保できていないサバイバル下での下痢や嘔吐は致命的である。
下痢・嘔吐で体内の水分を失い、摂取した水分も腸で吸収することが出来ず、脱水症状や栄養失調にも繋がる。
川の水はいくら喉が渇いていてもそのまま飲まず、適切な処理を行ってから口にする様に。

また、キツネや犬の糞尿が河川に流れていた場合、エキノコックス症にかかる場合がある。
エキノコックスという寄生虫の卵がヒトの口から体内に入って幼虫となり、肝臓などに寄生することで肝機能障害などを起こす病気だ。
エキノコックスの幼虫の発育は非常に遅く、自覚症状があらわれるまで数年から数十年かかるといわれている。
エキノコックス症に感染しても、早期発見すれば治療可能だが、放置すると90％以上の確率で死に至るため、特に注意が必要である。
※おキツネさんが悪いと言っている訳ではありません※　

想像してください。貴方の目の前に流れる綺麗な川の上流で、動物の死骸や糞尿が垂れ流れた水を。それをそのまま飲めますか？
その水は綺麗に見えても、汚染されている可能性はあるという事を忘れないでください。
　
また川の水だけでなく、キツネの糞尿に汚染された山菜等を摂取したり、エキノコックスに感染したキツネに直接触れた手から人の口に入り感染する場合もあります。
採取した山菜を食べる場合はよく洗い、十分に加熱する事。
また、キツネに近づいたり、触れた場合には手をしっかりと洗う事。
※おキツネさんが悪いと言っている訳ではありません※

川の水を飲む場合は、リスクを最低限にする為、必ず濾過した後に最低1分、可能ならば5分～10分は煮沸してから飲みましょう。
（食中毒の原因となるサルモネラ菌、病原性大腸菌、カンピロバクター、ノロウイルスは85℃以上1分間で死滅）
（エキノコックスの卵は100℃で1分で確実に殺滅）


また周辺に、工場・トンネル・火山・鉱山・温泉がある川の水は有害物質を含んでいる可能性が高いので、そちらの河川は利用を避けましょう。
有害物質は濾過や煮沸では取り除くことが出来ない事が多い為である。　

　
「ふむふむ、もし川を見つけても不用意に口にしてはいけないという事ですね…」
　
「そもそもこの島に川はあるのでしょうか…」
　　
※もう一度言っておきます。おキツネさんは悪くありません。あくまでエキノコックスという寄生虫が悪いのです。おキツネさんは可愛い※
　

3枚目のイラストはイメージです（加筆、加工 有)