思い出にピントを合わせて/スマホ壁紙アーカイブ

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【思い出にピントを合わせて】

あの日の夕暮れは、鉄の味がした。

指先で触れたブランコの鎖は、ひやりと冷たい。

その向こうで、君は世界が終わるみたいに、ゆっくりと揺れていた。

やがて、ギ、という軋み音が止まる。

振り向いた君の顔は逆光に滲んで、もう思い出せない。

さよなら、という言葉だけが、音もなく夕闇に溶けていった。

記憶のピントは、ずれたままだ。

君の最後の表情も、声も、輪郭を失くした。

ただ、指先に残る鎖のあの冷たさと、
錆びた鉄の味だけが、今も喉の奥に焼き付いている。

呪文

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