では、逝ってまいります

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もう、どうにもならなかった。
敵軍に側面を突かれ、我軍は分断され各個撃破されていた。
既に前衛は崩壊、残った後衛も包囲されつつあった。
軍団長から伝令があった。アッツ傭兵団は、殿軍として交戦されたしとあった。
ある程度予想はしていたが、やはり正規軍ではない傭兵団を捨て石にするつもりらしい。

傭兵は、金で戦をする。今回は通常の3倍の報酬が事前に支払われていた。
この時点でおかしかったのだ。我々もバカではない。
傭兵は契約で戦をする。ここで傭兵団が壊滅しても契約を守ったことにより、今後の評価は確実に上がる。
状況を予想して、優秀な若い連中を連れてこなくてよかったと思う。
我々がいなくなっても、優秀な彼らは傭兵団を立て直すだろう。
残った仲間は、まあ年配連中だ。俺もそうだ。
ベテランと言えば間違いではないが、惜しげのない連中の集まりでこの戦況状況でも笑う変人達だ。
初めから、帰還など考慮せずに俺についてきた大バカ野郎連中だ。本当に感謝している。
ちらりと2人の愛娘が心を過った。
せめて花嫁姿は見たかったが、そんな感情は押し殺す。

「では、逝ってまいります」

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