「後編」からの続きです。
後編↓
https://www.chichi-pui.com/posts/c9987b0c-447c-48a6-b844-43a14cfcc760/

<本番当日>

大規模な夏ファッションショー当日。

アリーナでは華やかな照明、プロの演出、大音量の音楽が流れている。

紫髪ウルフちゃんは、大勢の観客を前に堂々とランウェイを歩く。

夢に見た大舞台であり、彼女は確かな手応えを感じる。

だが舞台袖に戻ると、学生モデルたちの名前がほとんど紹介されなかったことに気づく。

司会者が強調するのは、モデル事務所、協賛企業、総合演出家の名前ばかりだった。

ウルフちゃんは初めて、自分たちが主役ではなく、演出の一部として扱われていることを実感する。

青髪ボブ子ちゃんもステージに立つ。

観客は多く、拍手も大きい。

しかし彼女には、昨年の小さな会場で聞いた仲間たちの歓声の方が、ずっと近く感じられる。

<翌日の小さなショー>

翌日、大学の中庭で「理想の夏コーデ」が開催される。

客席はアリーナとは比べものにならないほど少ない。

衣装も学生の私服をアレンジしたもの。

舞台装置も手作り。

音響が一度止まり、進行も少し遅れる。

それでも、学生たちは自分の衣装について、自分の言葉で説明する。

「古着を組み合わせました」

「祖母にもらった布を使っています」

「暑さ対策と、自分らしさを両立させました」

先輩たちはランウェイを歩きながら、少しずつ笑顔を取り戻す。

そこへ、紫髪ウルフちゃんが遅れて姿を現す。

先輩が驚く。

「今日は来ないと思ってた」

ウルフちゃんは、アリーナで着たプロ制作の衣装ではなく、自分で選んだスポーティーな夏服を着ている。

「昨日の舞台は、すごかったです」

「でも、私がどんなモデルになりたいのかは、誰にも聞かれませんでした」

「今日は、自分で選んだ服で歩きたいです」

先輩たちはしばらく黙る。

やがて一人が言う。

「出番、まだ一つ空いてるけど」

ウルフちゃんは笑う。

「それ、私のために空けてたんじゃないですか?」

「偶然よ」

そう言いながら、先輩も少し笑う。

<クライマックス>

最後の出演者として青髪ボブ子ちゃんが歩く。

彼女が着ているのは、昨年のショーで先輩たちが作った衣装に、今年の新しい素材や装飾を加えたもの。

過去のショーと、これからのショーをつなぐ服である。

ランウェイの先には、空野ミナミが小型カメラを持って立っている。

感動して、すでに目には涙が浮かんでいる。

青髪ボブ子ちゃんが笑う。

「ミナミさん、また泣いてます?」

ミナミはカメラを回しながら答える。

「泣いてない! 逆光!」

カメラマンが隣で言う。

「今日は曇りです」

観客から笑いが起こる。

青髪ボブ子ちゃんはランウェイの先で立ち止まり、客席に向かって話す。

「大きな舞台に立つことも、私たちの夢です」

「でも、自分たちで考えることを手放してまで、立ちたいわけではありません」

「これは小さなショーです」

「それでも、私たちが何を着て、何を伝えたいのかは、ここにあります」

拍手が起こる。

それはアリーナの拍手ほど大きくない。

しかし、彼女たち一人一人の名前に向けられた拍手だった。

<その後>

自主ショーの映像は、大学の短時間番組で放送される。

放送後、ケーブルテレビには予想以上の反響が寄せられる。

「大規模なショーより、学生たちの企画の方が面白かった」

「来年は両方見たい」

「学生の衣装についてもっと知りたい」

商店街の一部も、自主ショーへの協力を申し出る。

一方で大学当局と運営側は、青髪ボブ子ちゃんたちの行動を快く思っていない。

大学職員は彼女を呼び出し、厳しい表情で言う。

「青髪さん。あなたは大学の広報に関わる立場です」

「勝手な発言をされては困ります」

青髪ボブ子ちゃんは緊張しながらも答える。

「大学の顔だからこそ、学生の気持ちを隠したくありません」

廊下の外では、空野ミナミが彼女を待っている。

ミナミはいつもの笑顔で言う。

「怒られた?」

「少しだけ」

「後悔してる?」

青髪ボブ子ちゃんは考えた後、首を振る。

「怖かったです。でも、後悔はしていません」

ミナミは満足そうに笑う。

「やっぱり、うちの会社に欲しいなあ」

青髪ボブ子ちゃんは苦笑する。

「その話、まだ続いてたんですか?」


学生モデルである青髪ボブ子ちゃん、プロのモデルである姉との関係はどうなる?特別編に続く。

呪文

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