服部先輩の好物

服部先輩の好物は「焼き芋」である。
焼き芋を嫌いな者は少ないだろうが、服部先輩は実家が資産家の本当のお嬢様なのだ。その割にえらく庶民的なものが大好きなのだ。
大学は国立大学だが、高校までは小・中・高校の私立女子一貫校である。
服部先輩には年子の妹がいるが、姉妹そろって同じ学校法人葵学園の学校に通っていた。
それは服部家の女は代々不気味系顔であり、過去に差別で苦労したこともあった。
そのため私立一貫校に入学し、多額の寄付金を学校法人に提供することにより、虐めや中傷を防いだ。
実際に通学した学校法人葵学園への寄付金総額の内、約7％が服部家や服部家の関連企業からの寄附であった。
学校法人にとっては最大のパトロンである。そのため、本当に中傷等の問題はなかった。
でも服部姉妹は自分の家が、通学する学校の経済的最大のパトロンとは卒業まで知らなかった。
まあ、その方が良かったのだろう。2人とも成績は上位だったし、運動も平均以上だった。
でも、威張るなんてことは露ほども思っていなかったから。

そんなお嬢様の一番の好物が「焼き芋」であるのは意外だが、どんな甘味よりも好きらしい。
それも誰かに買いに行かせるのではなく、自分で購入する。
いつどこで「焼き芋」の売り主が来ることをデータにより考察し、先回りをして待っているのである。(焼き芋ストーカーの別名もある)
最初は、不気味な見た目に驚いた売主だったが、毎日買いに来る彼女を楽しみにするようになった。

その時の売主の会話内容が現在の営業成績の基礎になっていると彼女は言うのだ。
どうも、その売主は企業の経営者だったが業績不振により会社を倒産させた。その苦い経験をいろいろと語ったらしい。
(服部先輩が卒業した際、彼は先輩の紹介で服部グループの関連企業に再就職した。噂では年齢の割に優秀だそうだ)

服部先輩は今でも、冬になると昼休みに焼き芋を買ってきては満面の笑みで食べている・・・
(地域差もあるが、1kg 1000円程が相場。良く買う人はオマケしてくれるそうな)