ただ海が見たかった夏

使用したAI ImageFX
あの夏、何もかもうまくいかなくて、ムシャクシャしていた夏。
私はそんな気持ちをスカッとさせたくて、海へ向かったんだ。
ちょっと無免だったけど、そんなのはたいした問題じゃなかった。
大事なのは”海を見たい”っていう気持ちでしょ?

盗んだ車で走り出す、自由になれた気がした15の夏。
初めての運転はまあまあ難しくて、ちょっとコスったり、引っ掛けたり、乗せてた友達が消えたりした。
大丈夫、これぐらい私が初めてじゃない……考えすぎは良くない。
それでもやっと、運転に慣れきたかなと思ったころ、車が爆発炎上してしまった。
安物だったのかな?

なんとか目的地に着いて、夕焼けに染まる海を一望した。
日中の暑さが嘘のように涼しい潮風が吹いていて、水平線に落ちていく赤い夕日が壮大だった。が。
(なんか途中のハプニングでわちゃになって、この景色見ても何もおもわん……)

そんな私も肝の太さが認められて、いまや警察官。
あの夏の私のように、行き場のない気持ちで息が詰まってる少女に、
職質したり、発砲したりしてスリルを味あわせている。
若い頃のやるせない気持ちなんて、命がかかりゃ、だいたい吹き飛ぶからね。
便利で安全になった現代社会ではなかなか体験できない、生の実感ってやつ。

……あ、そろそろ中国マフィアのガサ入れの時間だ。
あいつら完全武装してるから、毎回気が抜けないよね。
じゃあ、ちょっと行ってくるね。ふんふ~ん♪

呪文

入力なし

白ラッコさんの他の作品

白ラッコさんの他の作品


新着AIイラスト

すべてを見る