猫の恩返し

使用したAI Stable Diffusion XL
投稿企画「みんなの絵本」参加用作品です。
平日に慌てて作ったので拙いですが…

【猫の恩返し】
朝陽の差し込む石畳の路地に、猫達の鳴き声が優しく響く。
中世から続く白壁の家々が並ぶこの街で、姉妹は毎日のように通りに出ては、
近所の猫たちに餌をやりつつ戯れるのが楽しい日課だった。

姉の名前はリーナ、しっかり者で、編み込んだ髪が印象的な少女。
妹の名前はエルナ、姉同様大きな青い瞳が印象的で、いつも笑顔を絶やさない心優しい子だった。

「エルナ、その子ばっかり構ってないで、他の子にもご飯あげてね?」
「うん、でもこの子、すっごく甘えん坊なんだよ。ほら、また膝の上に乗ってきた」
エルナのお気に入りは、水色の目をした子猫。ほかの猫たちよりも人懐っこく、いつもエルナの
足元を離れなかった。

姉妹の母は、エルナを産んで程なく亡くなり、父は遠方の街へ出稼ぎに出たまま。
家に二人きりだったが、リーナは母親代わりとなってエルナの面倒を見ていた。

ある朝、エルナが「寒い……」と呟いて、いつまでも起きて来なかった。
やがて高い熱にうなされ、寝床から動けない日が三日も続いた。

四日目の朝のことだった。
リーナが洗濯物を干していると微かなノックの音がして、玄関のドアを
開けてみると見かけない少女が立っていた。

「こんにちは、あの……エルナちゃんのお友達なの。最近見かけなくて…どうかしたの?」
歳の頃はエルナと同じくらい。栗色の髪に、くりくりとしたアクアブルーの瞳が印象的な
少女だった。リーナは少し驚きながらも事情を説明してあげると…

「そうなんだニャ……。おだいじにニャ!」
そう言って、少女はくるりと踵を返し、一目散に駆け去った。

(……今、「ニャ」って言った?)

気のせいかと思い直し、その事はすっかり忘れていた翌朝、再びその少女は
やってきた。しかし昨日とは何やら様子が違っていて…

「おはようニャ!」
――耳が付いている!? そう猫のような、ふさふさの大きな耳が頭の上に。
それに微塵も気付く様子はなく、少女はにっこり笑って、しわだらけの紙袋
を差し出した。

「これ、よく効く薬草ニャ! うちの仲間も、これで元気になったニャ!」
リーナに押しつけるようにそれを渡すと、彼女はまた風のように走り去っていった。

呆然としながら袋を開けると、中にはほのかに香る緑色の葉が詰まっていた。
(大丈夫かしら?……でも何も試さないよりは)
リーナはそれをすり潰し、はちみつ湯に混ぜてエルナに飲ませてみた。

すると次の日、エルナは驚く程の回復を見せ、元気に目を覚ました。
「お姉ちゃん! 猫ちゃん達に、会いに行ってくる!」
もう熱はどこにも残っていない。

路地に出ると、あの青い目の子猫が、いつものように待っていた。
だけど、エルナにはわかっていた。
この子が、自分を助けてくれた“少女”であることを。

「ありがとう……ほんとにありがとう」
エルナが囁くと、子猫は喉を鳴らしてすり寄ってきた。

それからというもの、エルナと青い目の猫は、以前にも増して仲良しになった。
まるで、言葉を交わさずとも心が通じ合っているように。

風の匂いと猫のしっぽ、石畳に響く笑い声。
姉妹の暮らしは、小さな奇跡と共に、今日も穏やかに続いていく。

呪文

入力なし

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