砂塵か、それとも保護色か。
それは、立ったまま埋もれていた。
発掘兵器。
終末の訪れる以前、人々が自由に「宇宙」を駆っていた時代の相棒。
神話上の生物や兵器を名に冠した巨大有人戦闘機。
「動くんスかね、このデカブツ?」
「わからん。わからんが、いかなる方法手段をとってでも我が隊の戦力にしろ、それが上層部(うえ)からの命令だ」
「たとえば――たとえばッスけど、これに自我なんかがあったりしたら、どうします?」
「仲良くしろ」
「へぇ」
フラットランドの制圧が困難となった現況下、「こそ泥」も一個の手段であった。
作業は夜間も続くだろう。なるほど、梟雄とは云ったものだ。
上官は苦々しげに口角をつりあげた。