本日のランチ

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『食彩探訪』12月号特集

「12月10日　冬のごちそう、しみじみ沁みる──ぶり大根定食」
文・撮影：田嶋 達郎（グルメ記者）


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冬の足音が一段と近づき、
冷たい空気が頬を撫でるこの頃になると、
自然と恋しくなる料理がある。

――ぶり大根だ。

本日の定食は、そんな冬の風物詩を堂々たる主役に据えた一膳。
湯気を立てながら登場した器には、
艶のある照りをまとったぶりの切り身が、
輪切りの大根とともに静かに横たわっていた。

箸を入れてまず驚くのは大根の柔らかさ。
芯までしっかりと煮汁が染みわたり、
噛むたびにじゅわっと広がる甘じょっぱい旨みが温度ごと伝わる。
そして、その傍らにあるぶりは、
ふっくらと脂がのりながらも決して重すぎず、
煮汁の味をまとわせることで奥行きのある味へと仕上がっている。

これは定食屋の技、まさに“冬の手仕事”と言いたくなる丁寧さだ。

副菜はほうれん草のおひたしとたくあん。
主張しすぎず、それでいて料理の全体を引き締めるように働き、
味の流れにメリハリを与えてくれる。

味噌汁は豆腐とわかめの素朴な組み合わせながら、
出汁が効いていて身体にすっと沁み入る。
白飯と合わせれば、
ぶり大根の旨みを余すところなく受け止めてくれ、
湯気までごちそうに感じられるひとときだった。

冬の昼餉とは、こういうしみじみとした幸福を味わうものなのだと、
改めて感じさせてくれる定食だった。


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◆次回予告

12月11日：香ばしさが食欲をそそる──「鶏の照り焼き定食」を予定。
甘辛いタレの誘惑に、抗える人は少ないはず。

──今日も、冬の味がしっかり沁みた。❄️🥢