柚月が帰った後も、理久は一人で試作を続けていた。
「よし……“超高密度うま味グラタン改”完成」
ぐつぐつと音を立てる鉄皿。
香りは凶悪なほど美味しそうだ。
その時。
カサッ。
「……ん?」
換気口の奥から、小さな緑色の何かが顔を出した。
さらに一匹。二匹。
「宇宙人?」
ぴょこぴょこと現れた謎の小型宇宙人たちは、一直線にグラタンへ向かう。
「なるほど。うま味に引き寄せられたのか」
宇宙人の一匹が、チーズをびよーんと伸ばしながらつまみ食い。
理久の眉がぴくり。
「……それ、まだデータ取ってないんだけど」
宇宙人たちは気にせず、今度は鍋や皿へ群がり始める。
「ダメだね」
理久、フライ返し装備。
次の瞬間――
ボンッ!!
コンロ横で小爆発。
「WH!?」
驚いて吹き飛ぶ宇宙人たち。
さらに理久は寸胴鍋の蓋を盾のように構え、次々応戦。
「つまみ食い禁止。あと厨房は土足厳禁」
宇宙人たちが反撃代わりに鍋をひっくり返し、別のフライパンが爆ぜる。
ボボンッ!
「……あー、可燃性ソース混ざったか」
黒煙の中でも理久は妙に冷静だった。
数分後。
厨房は半壊。
宇宙人たちはぐったり倒れ、理久だけが煤だらけで立っている。
「失ずーん……」
床に崩れ落ちながらも、理久はメモだけは忘れない。
『宇宙生命体、チーズ系に強く反応。爆発耐性あり』

呪文

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