ドラマ『Four Seasons病院』の撮影現場は、今日も朝から活気に満ちていた。

ナツミは凛とした白衣姿で主演ドクター役を演じ、カメラの前でも裏でも皆に慕われるエースのオーラを放っている。ハルネはナース衣装でクールに立ち回り、アキナは頼れる天才外科医、カエデはちょっと抜けた天然研修医、フユキは落ち着いた内科医として、全員がそれぞれの持ち味を存分に活かしていた。

そんななか、現場に一人の見慣れない女の子が現れる。

ナツキ「wow!ここが撮影現場ね。」

ナツミの妹、「ナツキ」だ。

彼女は最近までカナダに留学していた帰国子女で、英語混じりのイントネーションに加え、地元・福岡の方言も混ざっているいう不思議な訛りを持っている。

ナツキ「Oh my gosh〜、すごかね! ほんとにテレビのセットやん!」

カエデ「ナツキしゃん。初めましてだべ〜わーはカエデだべ〜。いづもナツミぢゃんにお世話になってるべ。会えてうれしい。お姉ちゃんとそっくりですごくめんこいべ〜」

ナツキ「oh〜カエデちゃん!本物や。いつも応援しとーと。あ、あいらしかお人形しゃんみたいなあ。一度お会いしたかったけん嬉しか。」

ナツミ「(わ〜互いに方言まるだし・・)」

ナツミ「あ、そうそうカエデちゃん。ナツキ就職先探してるんだ。バイオ学を学んでて、農業に興味があるんだって。カエデちゃんのご両親の会社、紹介してくれないかな??」

カエデ「ナツミしゃんの妹のためなら朝飯、昼飯前だべ〜。今度話しとくべ〜」

ナツキ「カエデちゃん。ありがとね。」

ナツキ「あ、ツンデレのハルネちゃんっちゃ。いつもツンデレめんこいな。あ、アキナちゃんだ、ハイテンションレディオ大好き。キャハー!、フユキシスター、クールアンドビューティ!!」

スタッフや共演者は、ナツキの明るさと独特のしゃべり方にすぐ心を掴まれ、現場は一気に和やかなムードに包まれる。


スタッフ「ナツキちゃん、せっかくだし衣装、着てみる?」

ナツキ「え、あたしが!? いや〜、似合わんって!・・いや、でも、ちょっとだけね!」

渋々と言いながらも、ナツキはドラマ用のナース服を着てみる。

ハルネ「えっ、めっちゃ似合ってる・・」

アキナ「うわ〜ナツミより似合ってるかも!」

スタッフ「ナツキちゃんもFour Seasons入れるんじゃね?」

メンバーやスタッフたちが彼女を褒めた。

ナツキ「へへ〜、なんか照れるばい。でも嬉しか〜!」

ナツキは頬を赤らめ、はにかむ。
ナツミはその様子を少し離れた場所から見つめていた。

ナツミ「・・ちょっと、やりすぎじゃない?」

ぽつりとつぶやいた声は、誰にも届かない。

もちろんナツミも嬉しい。久々に会えた妹が、みんなに歓迎されて、キラキラと輝いて見えるのは素直に誇らしい。

でも、その輝きが一瞬、自分を追い越していくような気がした。

――アイドルとして、姉として。
ほんの少しだけ、心がチクリと痛んだ。

ナツミ「・・まあ、今日は主役譲ったげるか。明日は返してもらうけどね」

ナツミは静かに笑った。
その目には、少しだけ悔しさと、たくさんの愛情が混じっていた。

ナツキがナース姿でふざけて「患者さん、診察するばい〜!」とカメラに向かってポーズ。(ナツキの方が年上に見える)

それをナツミが肩をすくめながら「それ、私のセリフなんだけど」と呆れた顔で見つめる——という仲良し姉妹のワンショットで、現場は笑いに包まれ平和にその日の撮影は終了。

ナツミ「(なんか、少しナツキが羨ましいな・・)」

呪文

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