くノ一

『ド派手忍者少女登場！』

――忍びとは、影に生き、静かに任務を遂行する者である。

しかし、ここに一人、その真逆を行く忍者がいた。

ドォン！！！（爆発音）

崖の上に派手にポーズを決めて立つ少女。
黒装束の上に、なぜか派手な帯を巻いている。

「おい！ なんでそんなに目立つ格好してるんだ！」

「ふっ……敵に見つかることこそ、忍びの極意！」

「どこがだよ！！！」

＊＊＊

ある日の任務。

敵の屋敷に忍び込み、情報を盗み出すのが目的だった。

「いいか、ここは静かに、慎重に動くんだぞ。」

「まっかせなさーい！」

颯爽と天井から降り立つ……つもりだった。

ズドンッッ！！！！！

天井をぶち抜き、大音量とともに床へめり込む風華。

「……ふっ、見事な着地。」

「いや、バカか！？！？ 音でバレるだろ！！」

「むしろ堂々と登場することで、敵は混乱する……これぞ忍びの戦術！！」

「いや、もう全員こっち来てるから！！！ 逃げろ！！！」

＊＊＊

別の日の尾行任務。

「今度こそ静かに……」

「ふふん、今回は完璧よ。」

影に隠れ、敵の後をつける。
しかし次の瞬間――

ズザザザザッ！！！

「うわあああああ！！！ 滑ったあああ！！！」

大量の竹林をなぎ倒しながら、全力で転がっていく。

「ちょ、！？ 何してんの！！」

「くっ……これは忍法"超高速転がりの術"……」

「いやただの転倒だろ！！！？？？」

当然、敵にバレてしまい、いつも通りド派手に戦闘開始。

＊＊＊

そんなこんなで、風華の忍びの道は今日も前途多難。

「忍者は隠密だぞ……せめて、もうちょっと静かに……」

「大丈夫！ 最後に生き残っていれば、勝ちなのよ！！」

「やれやれ…」

そう言って、今夜もド派手に爆発とともに消えていった――。