小説『祝煙の配達者』【ニャンノ世界】

【絵物語】
『祝煙の配達者』

ギルべー王国　首都
アンサーヘッド

ここには天秤管理機関『背負いし者』
の本部があり、世界厄災が終末事変より存在すれど、均衡を保つことができたのは、世界の天秤を司る調律者によるものであった。

彼らは国家に従属しない。
なぜなら、彼らには善と悪の善悪二元論、ナショナリズムに左右されない。

天秤を調律すること、
それが善であれ悪であれ、
どちらかに傾けば、
世界は混沌あるいは統制されてしまうのだから…

監視、されども、

祝祭日は別であり、

調律者達は、それぞれ、
ギルべー王国の祝祭者〈サンタ〉として祝福〈プレゼント〉を授ける。

プレゼントは、ギルべー王国の国民が願ったもの、しかし、願いは対価として降臨する。

対価の均衡によって、得るべきものは異なる。

だからこそ、ギルべー国民は頑張るのだ。

パン屋、教師、医師そして調律者の協力者として、

祝福者〈サンタ〉を祝う者はいるのだろうか。

オスカーは気にしない、
気にしたら、寂しくなるからだ。

花火の空を見上げ、
ポケットに手を入れ、
プレゼントを持っている。

傍らには芯解と書いて相棒と読む
シュティルライナーがいる。

其れが〈落ち込むな、落ち込む者がお前ならば、私がお前に何か面白いガジェットを制作するまでだ〉

「子ども扱いするな、終末が過ぎても終末、情報過多な世界で平穏に過ごせる姿を見れるだけで十分だよ」

「本当は」

「まぁ、シュティルの言った言葉は確かだろうなってのは確認しとくぜ」

「あぁ」

シュティルライナーは微笑みながら、
葬煙の執筆者、オスカー・シュタインは、次なる祝福への目的地へと跳躍する。

空は奇跡に溢れている。
闇は確かに深淵にある。
しかし、その日を過ごすたびに平穏が尊いと感じるのだった。