春の陽気に包まれた桜並木。金髪の少女、ミエルはブランコに揺られながら、頭の上の青い蝶々と優雅に語り合っていました。

「ねえ、今日の風はとっても甘い匂いがするわね」

ミエルが目を細めたその時、目の前に突如として、よれよれのスーツを着た見知らぬ男が「ニュッ」と現れました。

「……あ、あの、お嬢さん」

「ひゃあ!? びっくりした! どこから湧いて出たんですか、あなた!」

ミエルは勢いよくブランコを止め、目を丸くして男を指差しました。男は気まずそうに、手に持ったボロボロの地図を広げます。

「驚かせてすまない。実は……その、公園の出口を探していたら、いつの間にか君の目の前にたどり着いてしまって」

「出口? ここは公園のど真ん中ですよ。右に行っても左に行っても、桜、桜、また桜です。あなた、さては迷子の大人ですね?」

「うっ……否定はできない。さっきから同じ売店の前を三回通っているんだ」

ミエルは呆れたようにため息をつき、頭の蝶々を指でツンとつつきました。

「もう、しょうがないわね。いいですか、迷子のサラリーマンさん。私のこの青い蝶々が、出口まで案内してあげます。ただし!」

「ただし?」

「お礼に、そのポケットから見えている美味しそうな飴玉、一つくださいな!」

「えっ、これ? ……いいけど、イチゴ味だぞ」

「やった! 取引成立です!」

ミエルはご機嫌でブランコから飛び降りると、飴を頬張りながら男の先頭を歩き出しました。

「ほら、シャキシャキ歩いてください! 日が暮れたら、ここは妖精のダンスホールになっちゃうんだから!」

「それは困るな……明日は仕事なんだ……」

春の木漏れ日の中、小さな案内人と、大きな迷子のちぐはぐな散歩が始まったのでした。

呪文

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