小説『親切カタルシス、カタストロフ』【ニャンノ世界】

【構成要素】
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【絵物語SNS版】

【ニャンノ世界】
『親切カタルシス、カタストロフ』
崩壊した都市を背に、波の音は
絶え間なくゆったりと引いては返す…無限の海が涙を浄化するのか…
ウツツはそっと親切の手を握り、
「カタルシスがいるから、僕は紡げる、キメラになっても君は君なんだ」夕陽あるいは朝日に染まるささやかな再生…

【絵物語】
『親切カタルシス、カタストロフ』

過去の話、都市が終わり、
旅人として、ウツツは、彼女を
見放すことのないよう、手を繋ぐ
歩むのを辞めて

「生きたくない」

と言う彼女にウツツは激を飛ばす

「生きろ、まだ、僕たちは進むんだ」

死んでいった、散っていた者らのためにも
ウツツは歩むことを辞めなかった。

「ここで、止まったら、僕らを生かしてくれた仲間たちに…」

「ウツツ…、君は優しいね」

頬より流れし雨の音
ケモミミが生え、尻尾には龍の如く

そう、親切カタルシスは、
改造されかけたのだ…
破滅を願う越夜隊によって、
ウツツはなぜ、彼女を救えたのか
今でもわからない…
けれど、確かに救えたのは
彼が救いたい意志が
心より具現化したのだというのは、
心臓が唸っていた…
理不尽や終末の惨劇、
悲劇や残酷な者らに抵抗し
困難なれど突き進まんとする
意志が歩みを進ませた。
なぜ、僕らは立ち止まるのだろうか…
最終的な答えなどないというのに
いや、其こそが答えなのかもしれない
諦める…大抵の人類は悩むことを放棄し、次へ進むだろう…だが、敗戦後の彼ら、旅人陣営は、とにかく生きる、明日や明後日、見えぬ不安を抱きつつも、夕陽が見えてれば生きていると感じている…

それに…

「カタルシスがいることで、僕は…僕の言葉を紡げるから」

世界は時に牙を剥き、彼らを殺すだろう…
だが、破壊され駆逐された終末世界にて
炎は消えぬ、芯に宿りし核たるものは、
生命の輪廻を加速させる。

「ウツツくん、ありがとね、私、もう少し君と一緒にいさせて…」

朝日あるいは夕陽が彼らを照らしながら、路、険しなれどもこの世に、大地を踏みしめたいという心は、何人にも変えがたい宝物なのだと、ウツツは、この時の光景を胸に、生きるために学ぶのであった。