深い夜空に無数の星が瞬き、静寂の山々をかがり火の揺らめきが照らしている。ここは、悪鬼の棲むと恐れられる大江山。その山頂に立つ二人の姿が、闇と光の対峙を象徴していた。一方は呪符を握りしめる安倍晴明。平安の都に安寧をもたらす陰陽師として名を馳せ、冷静な眼差しで鬼の王を見据えている。そしてもう一方は、酒呑童子。人々に恐れられ、数多の罪を重ねてきたとされるが、その眼にはただの暴虐ではなく、どこか深い悲哀が宿っていた。
安倍晴明は心の中で静かに言霊を唱えながらも、一瞬たりとも気を抜けない状況に緊張を募らせていた。「この鬼を討つことが、人々の平和を守る唯一の道だ」と、己を奮い立たせる。それでも、その表情に浮かぶのは、ただの使命感ではない。晴明は知っていた。この鬼もまた、人間と同じように心を持ち、何かしらの事情でその道を選ばざるを得なかった存在であることを。だが、晴明にはそれを顧みる余裕はなかった。「仕方のないことだ。これは天命だ」と自らに言い聞かせ、呪符に込めた術式を完成させる。
一方、酒呑童子は対峙する晴明に向かい、低く笑みを浮かべる。「人間どもは何も知らないくせに、我らを悪だと決めつける」と心の中で呟く。彼には彼の事情があった。かつて人間に裏切られ、迫害され、やむを得ず鬼として生きざるを得なかった過去がある。その怒りと悲しみが、彼を強大な力を持つ存在へと変えた。しかしその力は、人々からの恐れと憎しみを増幅するだけだった。「それでも、俺には俺の正義がある。生きるために戦うだけだ」と、自らの行動を正当化するかのように拳を握り締める。
二人の視線が交わる。晴明の呪符が風に揺れるたび、鬼の圧倒的な気配が空気を震わせる。どちらが正義で、どちらが悪なのか。その答えを決めるのは歴史の流れなのか、それともこの瞬間の結果なのか。星空の下、かがり火が燃え盛る中、陰陽師と鬼の王の運命的な戦いが幕を開けようとしていた。
能力名:陰陽術の大成
敵全体に魔法ダメージを与え、混乱や恐怖状態にする。
能力名:式神召喚
一時的に強力な幻影の部隊を召喚し、戦局を逆転させる。