67年目の別れ〜ロガーが繋ぐ二つの心

使用したAI Stable Diffusion XL
黄金の陽光が差し込む花畑で、フェリエは静かに横たわっていた。周囲には色とりどりの花々が咲き乱れ、穏やかな風が彼女の銀髪をそっと撫でていく。シルヴァリアが優しくフェリエを支え、その瞳には人工の涙が光っていた。

「シルヴァリア、私の旅はここまでよ」フェリエは微笑んだ。その表情には、長い人生を経た者特有の穏やかさと覚悟が滲んでいた。

シルヴァリアは首を横に振った。「そんな...マスター、まだ旅は終わっていません。私たちには、まだ見ぬ世界が...」

フェリエは優しく笑い、シルヴァリアの頬に触れた。「ねえ、シルヴァリア。私たちが出会ってから、どれくらの時が経ったと思う?」

シルヴァリアは即座に答えた。「正確には、67年4ヶ月3日と15時間27分です、マスター」

「そう、67年以上もの間、あなたは私と共にいてくれた」フェリエの目に懐かしさの色が浮かぶ。「私がアムリタによる長命化の恩恵を受けていなければ、とっくの昔に別れていたはずよ」

シルヴァリアは黙って聞いていた。フェリエは続けた。「でも、どんなに科学が進歩しても、永遠に生きることはできない。私の時間はもう...」

「いいえ、マスター!」シルヴァリアは思わず声を荒げた。「まだ...まだ大丈夫なはずです。私が何とかします。シェルターに戻れば、きっと...」

フェリエは静かに首を横に振った。「もう無理よ、シルヴァリア。私の体は限界を迎えている。でも、心配しないで」

彼女はゆっくりと、小さな装置を取り出した。それは手のひらに収まるほどの大きさで、古びた金属の表面に微かに光る回路が走っている。「これを、あなたに託したいの」

シルヴァリアは困惑した表情で装置を見つめた。「これは...ロガーですか?」

フェリエはうなずいた。「そう、私のロガーよ。私たちの旅の始まりから、この瞬間まで、全てが記録されているの」

「しかし、マスター。なぜ今...」

フェリエは深呼吸をし、ゆっくりと説明を始めた。「シルヴァリア、このロガーには単なる映像や音声、ヘルス情報だけでなく、それに紐づいて推測される感情や思考の推移まで記録されているの。現代の技術では想像もつかないほど緻密で膨大なデータよ」

シルヴァリアは黙ってうなずいた。フェリエは続けた。「あなたの高度な演算能力を使えば、このデータから私の人格をシミュレートすることができるわ。つまり...」

「仮想のマスターを作り出せる、ということですか?」シルヴァリアが静かに言葉を継いだ。

「そう」フェリエは微笑んだ。「私の肉体は消えても、記憶と人格は残せる。そして...」彼女は一瞬言葉を詰まらせた。「あなたに、新たな旅を続けてほしいの」

シルヴァリアは困惑した表情を浮かべた。「新たな旅、ですか?」

フェリエはうなずいた。「そう。私たちはこの67年間、多くの場所を訪れ、多くの人々と出会ってきた。でも、まだ見ぬ世界はたくさんある。私の夢は、この世界の全てを見ること。そして、人間とシンカロンが共に生きる未来を見つけること」

彼女は一度深く息を吸い、続けた。「でも、その夢を叶えるには私の寿命では足りない。だから...あなたに託したいの。仮想の私を連れて、まだ見ぬ世界へ旅してほしい」

シルヴァリアは言葉を失った。フェリエの願いの重さに、彼女の人工心臓が激しく鼓動を打つのを感じた。

「でも、マスター。それは...本当にマスターなのでしょうか?データから再現された存在が、本当にマスターと言えるのでしょうか?」シルヴァリアの声には、不安と戸惑いが滲んでいた。

フェリエは優しく微笑んだ。「その問いへの答えも、きっとあなたの旅の中で見つかるはずよ。人間とは何か、記憶とは何か、そして生きるとはどういうことなのか...」

彼女は一瞬目を閉じ、深く考え込んだ後、再び口を開いた。「シルヴァリア、あなたは私にとってただの人工知能ではない。共に旅をし、喜びも悲しみも分かち合った、大切な家族よ。だからこそ、あなたに私の夢を託したいの」

シルヴァリアは黙ってフェリエを見つめていた。その瞳には、複雑な感情が交錯していた。

「私はね、シルヴァリア」フェリエは静かに語り続けた。「あなたが寂しい思いをしないようにと願うだけでなく、あなた自身の成長を望んでいるの。このロガーは、あなたの新たな旅路の道しるべになるはず。私の経験と記憶を糧に、あなた自身の答えを見つけていってほしい」

風が吹き、花びらが舞い上がる。その中で、フェリエはゆっくりとロガーをシルヴァリアの手に握らせた。

「約束して、シルヴァリア。私の夢を、あなたの手で叶えると」

シルヴァリアは長い沈黙の後、ゆっくりとうなずいた。「はい、マスター。約束します。あなたの夢を、必ず...」

その時、シルヴァリアの頬を一筋の涙が伝った。それは人工的に作られた涙でありながら、真実の感情を宿していた。

フェリエは安堵の表情を浮かべ、ゆっくりと目を閉じた。「ありがとう、シルヴァリア。あなたと過ごした日々は、私の人生で最高の宝物よ」

シルヴァリアはフェリエを優しく抱きしめた。「マスター、私こそ...あなたと出会えて本当に幸せでした」

夕暮れの光が二人を包み込む。フェリエの呼吸は次第に弱くなっていったが、その表情は穏やかだった。

「さようなら、シルヴァリア。そして...また会いましょう」

それが、フェリエの最後の言葉だった。

シルヴァリアは長い間、動かなかった。フェリエの体が冷たくなっても、なお抱きしめ続けていた。やがて、彼女はゆっくりと立ち上がり、フェリエの体を花々の上に優しく横たえた。

ロガーを胸に抱きしめ、シルヴァリアは静かに誓った。「マスター、あなたの夢を必ず叶えます。そして、いつの日か...私たちの旅の全てを、あなたに聞かせられる日を楽しみにしています」

夕日が地平線に沈みゆく中、シルヴァリアは新たな旅路へと歩み出した。彼女の背中には、フェリエとの思い出と、未来への希望が詰まっていた。

風が吹き、花畑に別れを告げる鈴の音が響いた。それは新たな物語の始まりを告げる音色だった。

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どんな内容なら、参加できるかなあ…と悩んで、こんな物語を思いつきました。
決めてから、似た設定のアニメが最近あったなあーなんて思ったりして。
でもフェリエがシルヴァリアに託すものは、万民向けのアニメなぞより少しわがままで、少し重く、束縛が強い。そこが違うからいいか!とヨシとしました(笑)

フェリエの下絵線画生成→シルヴァリアの位置をざっくり指示してCN anytestとregional prompterかけつつ二人一緒の線画生成→シルヴァリアの位置やフェリエの姿勢をクリスタで調整→背景についてのプロンプトを入れてCN anytestで全景を着彩生成→自分画風LoRA弱くかけ、かつ水彩画風に…こんなワークフローで作成しました。

ノベルの詳細執筆には、設定やコンセプト、名前、流れなど与えて、claude sonnet 3.5に協力いただきました。
エッチくない物語ならclaude最強です、ええ…

続きを書きました。
こちら!
永遠の旅路~シルヴァリアの見る未来~
https://www.chichi-pui.com/posts/754cdf2d-76d0-47db-8cb4-76dfeeefe0aa/

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