真夏の正午。麦わら帽子を被った結衣は、抱えきれないほどの大きなひまわりを手に、小走りで家路についていた。

「ただいま! おじいちゃん、立派なのが獲れたよ!」

縁側で新聞を読んでいた祖父が、眼鏡をずらしてひょいと顔を出す。

「おお、これは良い出来だ。花びらの厚みも申し分ない。今日の昼飯は、ひまわりの天ぷらで決まりだな」

結衣は目を輝かせながら、キッチンでひまわりを解体し始めた。

「これね、お塩で食べるのが一番おいしいんだよね。ポップコーンみたいな香りがしてさ」

「ああ、だが欲張って芯まで食うなよ。あそこは繊維が強すぎて、喉に詰まったら大変だ。それに、ガクの裏の産毛はちゃんと処理したか?」

「分かってるって。……あ、見て! この一番大きいやつ、種がもうぎっしり詰まってる」

結衣が花びらを一枚つまみ食いしようとすると、祖父にピシャリと叱られた。

「こら、生で食べるなと言っただろう。ひまわりは太陽の熱を蓄えているから、そのまま食べるとお腹の中で熱が暴れて、知恵熱が出るぞ」

「えー、おじいちゃんのその迷信、絶対嘘だよ。でも、揚げたてのサクサク感には勝てないから我慢する!」

パチパチと油の爆ぜる音が聞こえ始め、キッチンにはナッツのような香ばしい匂いが立ち込める。

「よし、揚がったぞ。結衣、熱いうちに運んでくれ。冷めると太陽のパワーが逃げちまうからな」

「はーい! 外のベンチで食べよう。ひまわりを見ながらひまわりを食べるの、最高に贅沢だよね」

二人は青空の下、黄金色の天ぷらを頬張り、夏の味覚を存分に堪能した。

呪文

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