紗希と雨と相合傘

使用したAI Stable Diffusion
昇降口の外では、しとしとと雨が降り続いていた。
水たまりが広がる校庭を眺めながら靴を履き替えていると、聞き慣れた足音が近づいてくる。

「……あれ、今帰り?」

声の主は紗希。
家が隣同士で、小さい頃からずっと一緒に育ってきた幼なじみだ。
青い傘を肩に寄せ、濡れないように少し傾けながらこちらを覗き込んでくる。
長い髪の先には雨粒がついていて、リボンも少し湿っていた。

「今日雨予報だけど、傘持ってきてなかったの?」

「天気予報見てなかったし、朝は降ってなかったからな。まあ濡れながら帰るさ」

そう答えた瞬間、紗希の眉がきゅっと寄る。
次の瞬間、手首をつかまれて、ぐいっと引っ張られた。

「傘あるから一緒に入っていきなよ。どうせ帰り道同じなんだし」

隣の家に帰るのだから、確かにその通りだ。
けれど突然の距離に思わず戸惑う。

「いや、でも……他の生徒に勘違いされるかもしれないだろ。相合傘なんてしてたらさ」

紗希は一瞬だけ目を丸くしたが、すぐにむっとした顔になった。

「そんなのどうでもいいの。濡れたまま帰して風邪でもひかれたら、おばさんに申し訳ないし」

そう言った後に、小さな声でボソッと呟く。

「……それに、せっかくなのに一緒に帰れないのやだもん」

「ん? 最後なんて言ったんだ?」

聞き返すと、紗希はぷいっと横を向き、頬をわずかに赤く染めた。

「なんでもないの。ほら、早く行くよ」

そう言って、傘の中へ引き寄せられる。
肩が触れそうなほど近く、歩くたびに傘の内側で小さな空気が揺れた。

雨音が静かに響く帰り道。
紗希は前を向いたまま、でも歩幅に合わせて少しだけ速度を落としている。

さっきの小さな声を思い返すたび、胸の奥がじんわり熱くなる。
紗希もまた、傘の影でこっそりと笑みを浮かべていた。

雨の中、二人の距離はそっと縮まっていく。

呪文

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