ぼっちと会える街 第4話

使用したAI ChatGPT
【第4話】さきがけてしまったリョウ

翔太は、虹夏に渡されたピンクのギター弦を握りしめながら、再び街を歩いていた。
その弦が、まるで温もりを帯びているように感じられてならなかった。

「……次は、誰に会うんだろう」

そんなとき、不意に耳に届いたのは──
低く、重たいベースの音だった。
吸い寄せられるように商店街の裏道へ進むと、廃ビルの一角で、ひとりの少女がアンプを鳴らしていた。

銀髪のロングヘア。鋭い目つき。
──山田リョウだった。



リョウはベースを掻き鳴らす手を止め、翔太に視線を向ける。
その目は、どこか虚ろで、冷たい。

「……あんた、誰?」

「ぼ、ぼくは……翔太っていいます。あの、後藤ひとりに会って……」

「へえ。ぼっちに会ったの」
リョウは口元だけで笑う。

「じゃあ、もう手遅れかもね。あの子に触れたら、もう戻れない」



「戻れない……?」

「……音楽に、だよ」

リョウは再びベースを弾き始める。
重低音が、廃ビルの壁を震わせる。
その音は孤独で、寂しくて、でも確かに人を引き寄せる力を持っていた。

「私はね、誰ともつながらなくても、生きていける。音さえあれば、孤独なんて怖くない……そう思ってきた」

しかし、その言葉に反するように──
リョウの指先は震えていた。



「でも……本当は違うんじゃないですか?」
翔太は思わず声を上げていた。

「だって、その音……すごく寂しそうだから」

リョウの手が止まる。
そして、彼女は小さく呟いた。

「……あんた、面倒くさいね。ぼっちと同じだ」



リョウはポケットから、古びたピックを取り出した。
色は剥げかけているが、中央に「KESSOKU」と手書きで書かれている。

「これ、持っていきなよ。別に大事にしてないから」
そう言いながらも、その声はほんの少しだけ震えていた。

翔太はピックを受け取る。
すると、再び心にあの不思議な感覚が広がった。
“欠けていたものが、少しずつ埋まっていく”ような──。



「……また来いよ」
リョウはぶっきらぼうに言った。
「どうせ、ぼっちも待ってるんでしょ」

翔太はうなずき、街の出口へと歩き出す。
手の中には、ピンクの弦と「KESSOKU」のピック。
それは、未来へ続く音の道しるべのように輝いていた。



(第5話へつづく)

呪文

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