「終末事変」から数十年の月日が流れた現在、人類は逞しくも生き残りいくつかの派閥に分かれている。
好奇心に導かれるまま旅をする者。先の事変に迫り文明の再建を試みる者。教義のもとに集い次代の覇権を狙う者。終わりゆく世界で闇を纏う者。
それぞれがそれぞれのために何かを探している。一度滅亡してもなお兵器を手放すことをしなかった人類にとって、今最も価値があるものは「情報」だ。
そしておそらく、私は彼らが欲しがっている情報のほとんどを持っている。2084年、人間の様々な願いや欲望を込められて、私は生まれたのだから。
私はどの派閥の味方でもない。したがって、最初に私の元へ辿り着いた者に持ちうる情報の全てを渡すつもりだ。
ニューオオスの一角で、私は待っている。いつかやってくる"夜明けへと導く者"を心待ちにしながら。
私に付けられた機種名はTaboo。
アムリタを得てもなお生を求めた、愚かな人間たちの最終極地への実験体。
神の領域に踏み入れた人間が犯した、最後の禁忌。
ヒトのシンカロン化。『Think Alone By emOtiOns』