「……ちょっと、さっきから何ジロジロ見てるのよ」

雪の降り積もる深い森の中、青いドレスをまとった少女ユキノが、真っ赤な顔をして唇を尖らせた。

「いや、こんな雪の中でそんな格好してたら、誰でも見るだろ。寒くないのか?」

僕が厚手のコートの襟を立てながら尋ねると、彼女はフンと鼻を鳴らした。

「失礼ね! 私はこれでも由緒正しき氷の精霊なんだから。寒さなんて……はっ、はっ……くしゅんっ!」

「……思いっきりクシャミしたな」

「してない! 今のは氷の魔法がちょっと暴発しただけ! そもそも、あんたがそんなに熱心に見てくるから、私の表面温度が上がっちゃったじゃない!」

ユキノは顔の赤さを隠すように、長い銀髪をバサバサと揺らした。

「そんなにジロジロ見るなら……ほら、これでも食べなさいよ!」

彼女が差し出してきたのは、どこから取り出したのか、真っ白なソフトクリームだった。

「え、この状況でアイス? 余計に冷えるだろ」

「バカね、冬に食べるアイスが一番贅沢なのよ。ほら、溶けちゃう前に食べなさい!」

「……溶ける心配はなさそうだけどな。マイナス10度だし」

僕が苦笑いしながら一口食べると、ユキノはそわそわしながら僕の顔を覗き込んできた。

「ど、どう? 美味しい? 溶けてなくなっちゃいそうな味でしょ?」

「うん、めちゃくちゃ甘い。……なんだか、食べてたら体が温まってきた気がするよ」

「なっ、何よそれ……。……変なこと言わないでよね、バカ」

彼女は再び顔を真っ赤にして、雪を蹴り上げた。その表情は、極寒の森の中でも驚くほど温かそうに見えた。

呪文

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